不倫夫が似合いすぎる45歳俳優。くたびれたスーパーの店長役が妙に…|ドラマ『泥濘の食卓』
不倫は、もちろんよくない。でも、不倫ドラマは面白い。
特にゲスい最低男が登場する不倫物は格別である。毎週土曜日よる11時30分から放送されている『泥濘の食卓』(ぬかるみのしょくたく/テレビ朝日)で“やや渋”の不倫男を演じる吉沢悠がかなりヤバそうだ。
「イケメンとドラマ」をこよなく愛するコラムニスト・加賀谷健が、“不倫ドラマの帝王”感が宿る本作の吉沢悠を解説する。
船越英一郎が、“2時間サスペンスの帝王”の異名を取ってから久しい。ドラマ『テイオーの長い休日』(2023年)では、セルフパロディとして2時間サスペンス俳優役を演じ、その称号を改めて印象付けた。
その道一筋。職人的に固定のジャンルと役柄を極める。ひとりの俳優のキャリアを考えたとき、こうした明確な路線を打ち出すことは、相当なブランディングにつながる。
2時間サスペンスのように、一定層からの根強い人気があるジャンルならなおさらのこと。他に例えば不倫物はどうだろう。今、このジャンルで不倫男を演じさせるなら、吉沢悠の右に出る者はいない。吉沢は、同ジャンルに出演することを極めつつある、まさに“不倫ドラマの帝王”と呼ぶにふさわしいひとりだ。
吉沢の俳優デビューは、1998年のドラマ『青の時代』(TBS)だが、45歳のベテランになった彼が、何だか妙に開眼したような気がする。
ここ最近の出演作で話題をさらったのが『夫婦が壊れるとき』(日本テレビ、2023年)。稲森いずみ演じる妻がいながら不貞の数々を露呈させる不倫夫役を演じきった。
映画制作会社の社長・真壁昂太(吉沢悠)は最初こそ、優しい夫であり父親に見えたのだが、裏では家の金を使い果たし、年若い女性との密会を繰り返していた。妻で内科医の真壁陽子(稲森いずみ)が夫の不倫を突き止め、壮絶な復讐劇を展開する。
復讐の鬼と化した稲森もすごかったが、爽やかな顔してあれだけ妻をあざむいた吉沢の演技も堂に入っていた。SNS上では「最高のクズ」とまで形容されたほどだった。
不倫ドラマの帝王、吉沢悠
「最高のクズ」役と呼ばれ
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