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不倫夫が似合いすぎる45歳俳優。くたびれたスーパーの店長役が妙に…|ドラマ『泥濘の食卓』

不倫の魔物が宿る目

土曜ナイトドラマ『泥濘の食卓』1話より

1話より

 最高のクズ役に続く不倫ドラマ出演作が、齊藤京子主演のドラマ『泥濘の食卓』だ。  本作は『夫婦が壊れるとき』をさらに上回るドロドロ具合。スーパーマーケット「スーパーすずらん」を舞台に、店長・那須川夏生(吉沢悠)と店員・捻木深愛(ねじき・みあ/齊藤京子)が不倫関係を結ぶ。 『夫婦が壊れるとき』では会社社長という役柄上、精悍でジェントリーな佇まいが特徴的だった吉沢だが、本作の店長役はかなり白髪交じりで、イケているとは言えない。だが、イケていないが故に、これは相当たちが悪い。  第1話冒頭、棚補充に手間取る深愛の元に駆けつけた夏生が、さっと唇を重ねる。いきなり店内での不貞行為。誰にも優しくされてこなかった深愛は、完全にメロメロだ。  不倫ドラマの帝王である吉沢の真骨頂がここで。眼鏡のレンズ越しにのぞく夏生の大きくソフトリーな目には、不倫の魔物が宿っているように見えたのだ。

不倫男の正体をあぶり出すホラー戦法

土曜ナイトドラマ『泥濘の食卓』1話より

1話より

「パラサイト不倫」というキャッチコピーで宣伝されている本作では、そうした魔物感を強調するように、ややホラー・テイストの演出が節々に確認できる。例えば、初のデートだと深愛が飛んで喜んで行ったディナー場面。  夏生が選んだのは鰻屋という渋さ。開口一番の「別れよう」はさらに渋い。まだ肝吸いにも手をつけていないというのに、深愛の肝が潰れるあり様。しかも店内には彼らの他には誰もおらず、照明が異常なほど暗い。  何だこの異様な雰囲気。食事中のふたりの横を店員がひとりだけ通り過ぎる。これもまた不気味。それもそのはず。第1話の演出を担当するのが、安里麻里監督なのだ。『劇場版 零 ゼロ』(2014年)などを代表作とする安里監督は、ジャパニーズホラーの巨匠・黒沢清監督の弟子でもある。  ホラー色を全編に行き渡らせることで、この不倫男の正体をあぶり出す戦法か。ところがどっこい、別れを切り出された深愛は、諦めがつかずに恐るべきストーカーと化す。  これがパラサイトが意味するところなのだが、この不倫ホラー、まったく先が読めない! <文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト / アジア映画配給・宣伝プロデューサー / クラシック音楽監修「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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