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25歳女子が“愛する店長”の妻に接触しようとする手口が怖い。相手家族を侵食する狂気|ドラマ『泥濘の食卓』

 ここまで感情移入するのが難しいキャラクターも珍しい。齊藤京子扮する恐怖のストーカー女性の目的とは。
土曜ナイトドラマ『泥濘の食卓』3話より ©テレビ朝日

土曜ナイトドラマ『泥濘の食卓』3話より ©テレビ朝日(以下同じ)

 ストーカー行為が加速するとともに、不倫関係もどんどん深みへ。毎週土曜日よる11時30分から放送されている『泥濘の食卓』の描き方は、徹底されている。 「イケメンとドラマ」をこよなく愛するコラムニスト・加賀谷健が、泥濘から地獄沼へと深化する本作特有の不倫について解説する。

どんどん足をとられる恐怖の地獄沼

 もはやこれは単なる泥濘(ぬかるみ)ではない。スーパーマーケット「スーパーすずらん」に勤務する捻木深愛(齊藤京子)が、恋い焦がれる店長・那須川夏生(吉沢悠)を愛し求め、どんどん深みへはまり込む。  泥濘の奥深くで足をどんどんとられ、恐怖の地獄沼へ。第3話では、夏生への執着と愛が極限まで高まる。冒頭場面。出勤してきた深愛はすぐさま、夏生の所在を聞く。本社であることを知るとがっかり。  スタッフルームの壁際にある夏生のデスクへ手を伸ばす。そして呟く。「店長、店長……」と繰り返す。相手を愛撫するかのようにデスクに触れる。鍵穴のついた引き出しを開ける……。

初めて登場する妻の姿

土曜ナイトドラマ『泥濘の食卓』3話より ©テレビ朝日 鍵はかけられていなかった。深愛が取り出したのは家族写真。それを見て一言。「これが奥さん」。これまで名前すら伏せられていた夏生の妻の姿が、初めて画面上に登場した。  写真をつぶさに眺める深愛が、うっすら微笑む。妻を確認できて嬉しいのか、それとも愛する夏生が幸せそうな家庭を持っている事実を改めて感慨深く思っているのか。感情が入り組んでいてよくわからない。  そこから畳み掛けるように、夏生へのストーカー行為はエスカレートする。夏生が病院帰りのふみこ(戸田菜穂)を親身になって介助する姿を目撃した深愛は、やはり自分ではなく、家族が大切なのだと打ちひしがれる。情緒不安定もここまでくると感情移入どころではない。
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深愛の存在に救いを求める男・ハルキ
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