25歳女子が“愛する店長”の妻に接触しようとする手口が怖い。相手家族を侵食する狂気|ドラマ『泥濘の食卓』
深愛の存在に救いを求める男・ハルキ
夏生のことを考えて悶々とする毎日。夜は眠れず、朝も起きられない。とうとう深愛はすずらんを辞めてしまう。彼女はこの瞬間、恐怖の地獄沼に間違いなく踏み込んだ。もう後戻りはできない。
地獄沼の住人として生きていく覚悟を決めた。もうひとり、この地獄沼でもがき苦しみ、どうしようもなく追い詰められているのが、夏生の息子・ハルキ(櫻井海音)。
幼馴染の尾崎ちふゆ(原菜乃華)のせいでレイプ魔呼ばわりされる。ちふゆからは執拗に連絡がくる。
家はゴミ屋敷。精神を病むふみこと弱々しい夏生。彼の唯一の希望。それは、深愛の存在が救いになっていること。
追う目的を微妙にずらす
この地獄沼では、必ず追う者になる。ハルキはちふゆから追われる存在だが、深愛に対しては追う側となる。
この追うという行為が、常人では考えられないほどの執着と狂気を加速させる。
夏生を狂おしいまでに追い続ける深愛は、彼に黙ってすずらんを辞めたことでけじめをつけたかと思った。が、夏生から必要とされていることを再確認した彼女は、追うことを再開する。
それは、最初は夏生の心の支えになり彼を救うためだったが、今度は家族全体を救うためになる。
夏生を追うことに変わりはないが、目的を微妙にずらすことで、追うための理由を拡大解釈してでっち上げたのだ。
ぬかるんでいく那須川家の食卓
それで深愛が接触したのは、病院通いのふみこ。外のベンチに座るふみこに話しかける。
支援団体であることを偽って、アンケートを書かせる。家庭事情についてヒアリングする中で、ふゆこの心をすこしづつ開かせていくのだ。
知る深愛の思惑。夏生の家族にどんどん侵食しようとする彼女の行為が恐ろしく映る。
いや恐ろしいけれど、ここまでくると、もはやどんどんやってくれと思ってしまう。
深愛の行動に慣れ、当たり前だと認識するようになってしまったのか。感覚が麻痺してきているようだ。
地獄沼の住人として深愛は、どこに行き着こうとしているのか。ドラマタイトル通り、深愛によって那須川家の食卓がぬかるんできた。
<文/加賀谷健>
- 4話より(以下、同じ)
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