錦戸亮の底なしの魅力『Re:リベンジ-欲望の果てに-』での厚みのある演技に高評価
錦戸亮の表情に、毎週翻弄されている。
現在放送中のドラマ『Re:リベンジ-欲望の果てに-』。
主人公は赤楚衛二が演じる海斗。巨大病院「天堂記念病院」の理事長である父親に対して反発して医師にはならず、出版社で週刊誌の記者として働いていた。しかし、父が不審な亡くなり方をしたことで、病院内でうごめいていた不穏な問題、そして権力争いに関わっていくことになる。
そんな海斗の目の前に立ちはだかるのが錦戸演じる心臓血管外科の優秀な医師・大友郁弥だ。
父の死と前後して天堂記念病院に現れた郁弥。海斗は郁弥に疑いの目を向け、さらには対抗心をむき出しにしていく。海斗と郁弥を中心に展開されていく権力争いだが、その裏には一体どのような真実があるのか。
錦戸は2019年の『トレース~科捜研の男~』以来、5年ぶりのフジテレビドラマへの出演となる。
2024年に入ってからの錦戸の活躍は目覚ましい。
ドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS)への出演、3月には映画『コットンテール』が公開となった。錦戸が出演した作品は多くあるが、今回は2024年の作品に絞って、その魅力に改めて迫りたい。
『不適切にもほどがある!』は、1986年の日本で生きていた小川市郎(阿部サダオヲ)が昭和と令和を行き来し、コンプライアンスを無視した不適切な発言で「今」の空気をかき回すコメディーだ。
錦戸は市郎の娘・純子(河合優実)の夫・犬島ゆずるという役どころなのだが、クセが強い。昭和のディスコでボーイとして働き、そこで純子と出会ったゆずる。結婚の許しを得るために市郎のもとを訪れるが、猛反対され、そこで披露したのが「結婚の許しを乞うダンス」。肩パットが入ったジャケットを着て、のダンスと結婚の許しの乞い方は振り切っていて端的に言って最高だった。
しかし、純子と結婚後は、家業の仕立て屋を継ぎ、一転シンプルな装いに。
「若さ」と「渋さ」を演じ分け、「破天荒さ」と「堅実さ」を表現。出演シーンは多くなかったが、人生が進んでいく中での苦悩と喜びを伝えてくれた。
ここ数年は地上波の番組への出演が減っていたが、『不適切~』では演技だけではなく、歌声とダンスを披露し、情報量の多さでファンを喜ばせた。
映画『コットンテール』では主人公である兼三郎(リリー・フランキー)の息子・慧を演じた。
兼三郎は亡くなった妻の遺言を叶えるために日本からイギリスへ。慧は自身の妻と娘と共に兼三郎に寄り添う。言葉少なでちょっと偏屈で、愛はあるのにそれを伝えるのが下手な父に、怒りと悲しみを感じながらも、息子としての愛情を持っている慧。
慧もさほど言葉が多いわけではない。しかし、沈黙のときの表情が雄弁で、どれだけ父親への愛を抱いているか、ということが伝わってきて胸が痛くなる。
一方で、自身も父親としての表情も見せる。息子であり、父であり、その中で生まれる心情の揺れが実に人間らしい。
映画『羊の木』でも抑えた静かな演技が印象的だったが、この数年でさらに表現の豊かさが加わり、沈黙で魅せてくれる。
改めて見せつけたポテンシャルの高さ
ヒューマンドラマで描く愛の表現方法
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