
画像:フジテレビ『Re:リベンジ-欲望の果てに』公式サイトより
そして 『Re:リベンジ-欲望の果てに-』である。
謎が多く、本心が見えない。海斗に対する敵意を持っているのか、それとも……。
主人公のライバル役、ということでとびきりの悪役も期待していたが、海斗の未熟さも手伝って、キレ者という印象のほうが強い。それでいてヒロインである陽月(芳根京子)のピンチに現れることも多いというヒーロー感も伴っている。海斗のライバルというより、成長のきっかけを与えるポジションなのかもしれない。
ただ、数年前だったら、錦戸が海斗のポジションだっただろう。若さゆえに突っ走ってしまう、そして転んで立ち上がる。今はその成長過程をひとつ超え、向こう見ずな主人公を導く役割を演じるようになったのではないか。
ずっと無敵のヒーローもカッコイイ。しかし、痛みを伴う役を演じることで、また役柄が広がったように感じられる。
錦戸のこれまでの作品を振り返ってみると、両親が殺されたり、幼少期の辛い記憶に苦しめられたり、自身が起こしたかもしれない罪に苛まれたりと、わりと重いバックボーンを背負っている役柄が多い(個人的には重い責任を背負わされることが多くないか?とも思う)。
もちろん、どんなキャラクターだってバックボーンはあるが、人格形成に影響があるほどの重さ。しかし、重い過去があったとしても、人は笑うし、喜びを溢れさせる。そんな陽の部分を際立たせることによって、影の部分がより濃くなる。
『Re:リベンジ-欲望の果てに-』でも、ふとしたときに見せるキャラクターとしての素の表情と、気持ちを隠した仮面をかぶった表情のコントラストが物語に深みを持たせてくれている。キーマンであることに変わりないが、終盤にかけてどのような表情を見せてくれるのか。物語の展開と共に期待したい。
<文/ふくだりょうこ>
ふくだりょうこ
大阪府出身。大学卒業後、ゲームシナリオの執筆を中心にフリーのライターとして活動。たれ耳のうさぎと暮らしている。好きなものはお酒と読書とライブ