専業主婦から起業し年商3億円の経営者「ビジネスで“稼ぐ”という目的にならないよう気を付けています」その理由は?
コロナ禍から働き方の多様性が叫ばれる昨今、起業する女性が注目されています。ですが、起業や経営、と聞くと「自分には無理……」と怖気づいてしまう方も多いかもしれません。
そこで今回は、専業主婦から起業し、「顔ジム」が話題の美容家・那賀洋子さんに、ビジネスで生き残るコツについてインタビュー。東京進出やさまざまな経験から、那賀さんのビジネスに対する考え方を伺いました。
専業主婦から大分にエステサロンを開業し、東京進出を決意。47歳で東京麻布に法人を立ち上げた那賀さん。ですが、いざ東京に出てみると、たくさんの競合サロンに圧倒されたそう。
「東京にお店を出すと決めた時は『自分の作ったものって最強!』と自信を持って進出してきたのですが、周りを見たらみんな同じように自分のサービスに自信を持っている方ばかりで、私のサロンはその中の1つでしかない、ということに気付きました。
どんなに自分が良いと思っていても、気付いてもらわなければ伝えることもできない、とわかったので、独自のネーミングをつけることにしたんです」(那賀さん)
那賀さんのサロンでの施術は、顔の筋膜リリースがメイン。筋肉を刺激することから、フェイシャルエステといった癒やし系の施術をイメージする言葉はフィットしていないと感じていたそう。
「実際にフェイシャルエステと聞いていらっしゃるお客様は、顔の筋肉のマッサージをすると、驚かれることもありました。当時は今以上に肌に刺激を与えることをNGとしていた風潮があったので、こんなことしていいんですか!?ってびっくりしてしまって。でも私は実際に自分で肌の調子が良くなったし、この方法に自信がありました。だから、もっと適したオリジナルの名称が必要だと気付いたんです。
そこで思いついたのが『顔ジム』というネーミング。『ジム』という斬新(ざんしん)な響きと、筋トレのイメージがつきやすいことから、美容に関心が高い方だけでなく、男性にも興味を持っていただけるようになりました」(那賀さん)
サービス名に個性を出し、実際の施術とのイメージをフィットさせたことで、多くのお客様の目に留まるように。さらに、出版社からも声がかかり、本を出すきっかけにもなったのだとか。
「今はお客様に声が届けば、お客様の方が判断してくれる時代。インパクトのあるネーミングをつけてお客様に届けられたことで『顔の筋肉のリハビリという視点は、言われるまで気付かなかった』とか『納得できた』という声をたくさんいただけて、揺るがないでよかったなと改めて感じました」(那賀さん)
信念だけでなく、しっかり考えてサービスを掘り下げてブランディングを整えたことで、お客様に選ばれる存在になれたのです。
東京進出が成功し、多くのお客様が「顔ジム」を求めてサロンを訪れるようになり、現在は従業員10人を抱え、3つの会社を経営し、年商3億円の那賀さん。事業が大きくなる中で、ビジネスにおいて大切にしている考え方があります。
「世の中には稼いでいる方がたくさんいますが、私はビジネスで“稼ぐ”という目的にならないよう気を付けています。もちろん私は経営者なので、従業員の満足も考えなければなりませんが、第一は綺麗になる方法を多くの人に伝えていくことが使命だと考えています。
だから、何事もビジネスというよりも、『顔ジム』についての自分の思いやストーリーをたくさんの人に知ってもらう、ということを軸に考えます。
一時期、大きく広げようと考えたこともありましたが、やはり一気に広げると自分の思いが一切入らなくなる。私は自分の目で見てちゃんと作ったものを伝えていきたいので、それは違うなと感じたんです」(那賀さん)
「顔ジム」誕生秘話。わかりやすく個性的なネーミング
“稼ぐ”という目的にならないように気をつけている
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