
大人気シリーズ「熱海五郎一座」新橋演舞場シリーズ第10回記念公演「スマイル フォーエバー ~ちょいワル淑女と愛の魔法~」
――俳優として今後、より追求したいことは何かありますか?
松下:もっと深みが出るように、もっと感じられるように、相手役のことを気遣いたい、など、挙げていくとキリがありません。今回の舞台では、喜劇を通じてほんの少しでもお客さんとの距離を近くに感じたいと思いました。日々のお客さんの様子まで感じ取れる余裕がある役者になりたいです。
――その今回の舞台、三宅裕司さんを筆頭にゲストの伊東四朗さんをはじめ、日本最高峰の東京喜劇人たちが集い、笑いはもちろん、アクション、歌、ダンスと、盛りだくさんの内容ですね。
松下:(台本の)1ページ目から面白いですよ(笑)。わたしは東京都知事の役をやらせていただくのですが、サブタイトルにあるちょいワル淑女の役です。クセがあり、難ありなのですが、男性陣とどういう関わりを持つのか、それにより最後にわかる愛の魔法とは何か。そもそも魔法学校が日本にもあるシチュエーションで、みんな魔法学校に通っているのですが、どうして通っているのか、その中に本当の魔法使いがいるのかどうか……など、さまざまな面白さがあります。
――前回出演したときはどうでしたか?
松下:歌ありタップあり殺陣あり、東京の喜劇、軽演劇をやらせていただきました。一座のみなさんとご一緒して、三宅裕司さんの演出を受けるという楽しさもありましたし、熱海五郎一座を楽しみに舞台を観に来てくださるお客さんの笑顔や笑い声のエネルギーを存分に感じた1か月でしたので、本当に楽しかったです。また出たいと思いました。
――最近でも映画に出演もされ精力的に活動されていますが、50代、どのように過ごしたいですか?
松下:年齢のことをネガティブに捉えがちなところがありますが、今回の舞台で諸先輩方の姿を見ていると、年齢について言えなくなりました(笑)。『お終活 再春!人生ラプソディ』という映画では、大村崑さんが92歳なので、すごいですよね。軽やかさを持って50代後半は進みたいと思っています。
――前向きな気持ちが大切ということですね。
松下:そうですね。伊東四朗さんにも「まだ若いね」と言われましたし。もちろん、現実問題として年齢には向き合っていかないといけないとは思いますが、自分と付き合っていく以外にはないわけですよね。なので、いかにネガティブに捉えないか、ですかね。
それぞれの年齢ならではの楽しみを見つけることで生き生きとしていられると思うんです。人と比べたりすることなく、こういうわたしがいたっていいじゃないですか、くらいの気持ちでいきましょう(笑)。
<取材・文/トキタタカシ 撮影/塚本桃>
トキタタカシ
映画とディズニーを主に追うライター。「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリーに。故・水野晴郎氏の反戦娯楽作『シベリア超特急』シリーズに造詣が深い。主な出演作に『シベリア超特急5』(05)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。現地取材の際、
インスタグラムにて写真レポートを行うことも。