2024上半期もっともブレイクした23歳女優はなぜ“逸材”なのか。ブレイク前夜に対面した筆者が読み解く
昭和・平成・令和、たぶんどの時代でも通用する才能である。阿部サダヲ主演ドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS、2024年)に出演した河合優実を見て、多くの視聴者がそう思ったのではないだろうか?
山中監督の受賞はさらに日本大学芸術学部の在学生、卒業生にとっては特別嬉しいことでもある。山中監督もまた所謂、日芸生だったからだ。卒業生である筆者にとっては、映画学科監督コースの後輩にあたる。休学中の彼女が初めて長編を監督した『あみこ』(2017年)の話題は今でも語り種だ。
でも単に後輩が受賞したから嬉しいのではない。『ナミビアの砂漠』の主演が河合優実だからでもある。実は河合とはちょっとした縁がある。筆者の同期生だった嵐あゆみ監督が、日芸卒業後に進学した東京藝術大学大学院の修了作品として監督した『透明の国』(2020年)の主演俳優が、河合優実その人だったのだ(しかも同作の指導教員は、青山監督の大学の先輩である黒沢清監督!)。
公式には『透明の国』が映画初主演作品になるのかな? そんなつながりで、筆者は一度、河合に挨拶する機会を得た。渋谷のユーロスペースで行われた上映会のあと、ロビーで監督から紹介してもらった。第一印象は可憐。ひと目見てわかる。あぁ、この人は例えば、大瀧詠一の楽曲に描かれるように鮮やかな可憐さの持ち主だと。
2024年6月28日に発表されたORICON NEWSの『2024年 上半期ブレイク俳優ランキング(女性編)』では堂々の一位を獲得。『不適切にも~』出演がきっけで“大ブレイク”という認識が広くあるけれど、彼女の普遍的な魅力は、映画俳優としての佇まいにこそ、より強烈に、鮮烈に宿っていると思う。 イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、実際に目の前にしたエピソードなどを交えながら、河合優実の逸材ぶりを解説する。
映画史に接続された山中瑶子監督
山中瑶子監督の最新作『ナミビアの砂漠』が2024年5月25日(現地時間)、第77回カンヌ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞した。これが紛れもない快挙だと日本のメディアで報じられても、アカデミー賞などに比べていまいちピンとこないかもしれない。国際映画批評家連盟賞は、コンペティション部門とは別に独立した部門。 華やかなカンヌ本賞に比べたら、地味と言われたら地味。本賞より同賞に注目する人はよっぽどの映画好きかもしれない。過去には日本人監督の作品として、青山真治監督の『EUREKA』(2000年)やアカデミー作品賞にもノミネートされて話題になった濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』(2021年)が受賞している。 青山真治監督は、2000年代以降の映画界はその名を置いては語れないくらいの存在なのだが、そんな映画史の文脈に山中監督が今回接続されたことが、ほんとうにすごいことなのだ。カンヌ映画祭便り
— 映画『ナミビアの砂漠』 (@namibia_movie) May 22, 2024
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貴重なサイン入り#ナミビアの砂漠 カンヌ版ビジュアル✍️
イギリス、ラトビア、オーストラリア、オランダ、ベルギー、中国など国際色豊かな取材を受けて頂きました🌏#Cannes2024#河合優実#金子大地#寛一郎#山中瑶子 pic.twitter.com/NSRb0bnfc3