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2024上半期もっともブレイクした23歳女優はなぜ“逸材”なのか。ブレイク前夜に対面した筆者が読み解く

映画に愛される人

『サマーフィルムにのって』(SMR(SME)(D))

『サマーフィルムにのって』(SMR(SME)(D))

 確か、一言か二言、話しただけだった気がするが、その可憐さと映画的な佇まいにすっかり魅了されてしまった。イケメン研究を生業にしている筆者だけれど、このときばかりは目の前にいる河合優実という存在しか目に入らない。  唾をつけると言ってはなんだけれど、彼女のその後の活躍に豊かな期待を抱いた。思った通り、それ以降の河合優実の大躍進ぶりはすさまじい。『サマーフィルムにのって』(2021年)出演を機に、話題作に次から次へ。  伊藤健太郎の復帰作として阪本順治監督が用意した『冬薔薇』(2022年)や『ひとりぼっちじゃない』(2023年)では、一見可憐さとは正反対に見えて、その実、底から身震いするほどの純度を誇っていたと思う。心底映画に愛される人。それが河合優実の美点であり、比類なき才能だろう。

普遍的な魅力の持ち主

 そんな清濁を神秘的にたたえた彼女が、さらにグッと話題を集めるのが、宮藤官九郎による脚本で、昭和、平成、令和を鋭く批評したドラマ『不適切にもほどがある!』である。同作で河合が演じたのが、1980年代から令和にタイムトラベルする主人公の体育教師・小川市郎(阿部サダヲ)の娘・小川純子。  元祖スケバン映画『女番長ブルース 牝蜂の逆襲』(1971年)みたいな雰囲気をストレートにまとって気概十分。不適切な暴言吐きまくりのキャラクターだが、やはり河合が演じるからには可憐さも持ち合わせる。無敵なほどに視聴者の心をくすぐる人物像だった。  映画だけでなくテレビドラマでもここまでの存在感を発揮出来る。中森明菜風のヘアスタイルは、ネット上で「令和の山口百恵」と評された。確かに似てる。河合自身は当然令和世代だけれど、レトロな雰囲気でもある。昭和・平成・令和関係なく普遍的な魅力の持ち主なのだ。
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手練れのケレン味を醸す
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