旅館の従業員でSNS部隊を作り、月1ペースで動画を撮影
――山口さんが経営されているグランディア芳泉は、「福井に来たらいいと思う」以外にも、体を張ったユニークな動画をたくさん配信されています。創業60年以上の老舗旅館としては珍しい取り組みだと思うのですが、企画はどなたがされているのですか?
山口「従業員の中でSNS部隊を作って、自分たちでSNSを運用しています。いろんな案を出し合って、月1回のペースで動画を撮影しているんです。撮影などを一部外部の方にお願いすることもありますが、
基本的には自分たちでやっています」

――従業員と山口さんで運営されていたのですね。
山口「
おもしろ動画なりにも、着地点はちゃんと考えていて、必ず福井県のPRや旅館文化を知ってもらえる内容になるよう意識しています。『福井に来たらいいと思う』のような一生懸命ふざけた動画も多いですが、10回に3回は真面目な投稿をしようと心がけています。
フォロワーの方に喜んでもらえるのはうれしいですが、おもしろいだけで終わってしまうのはもったいないですからね。『福井県に行きたい』『あわら温泉に行ってみよう』『グランディア芳泉に泊まろう』とつながるよう、日々みんなで考えています」
1日5組以上のお客さんが、SNSを見て来館している
――SNSや動画の効果はいかがですか?
山口「動画の効果だけではないのですが、一貫してSNSで発信を続けていることで、手応えは感じています。
2年前はSNSを見て来館された方が1日3組くらいでしたが、今では5組以上に増えています。
SNSが盛り上がったことで、JTBさんが『若旦那プラン』という宿泊プランも作ってくださいました。特典でステッカーをつけたり、私が縁起の良い言葉を色紙に書いてお渡ししたりしています。ちょうど昨日も予約が入りました。大手旅行会社さんがそういったプランを作るのは珍しいので、とてもありがたいです。
また、
昨日はSNSを見て予約された海外のお客様もいらっしゃいました。旅館を通じて日本文化を知るきっかけになれている点でも、やってよかったなと感じています」
――反響がかなり大きいようで驚きました。
山口「我々は動画制作のプロではない分、従業員で知恵を出し合いながら、みんなで楽しく動画を作っています」