「有名歌手の長男」と「人気俳優の次男」が二世俳優で抜群の存在感だといえるワケ。ドロドロ不倫ドラマで見せた才能
近年のテレビドラマのちょっとしたトレンド感として、泥沼不倫系ドラマ作品に出演した二世俳優が、大ブレイクする傾向がある気がする。
それぞれ作品内では唯一ピュアなキャラクターを演じる『泥濘の食卓』(テレビ朝日、2023年)の櫻井海音と『夫の家庭を壊すまで』(テレビ東京、2024年)の野村康太が代表的存在である。
松坂桃李主演ドラマ『御上先生』(TBS、毎週日曜日よる9時から放送)にも出演する櫻井海音は特に、単なるネクストブレイク俳優候補の範疇にはおさまりきらない才能である。
男性俳優の演技を独自視点で分析するコラムニスト・加賀谷健が、ネクストブレイク俳優枠の先で金看板を掲げる櫻井海音の才能を解説する。
各局で放送される深夜ドラマにはいろいろな楽しみ方がある。まず時間尺が短い分、物語展開がジェットコースターのように急速で飽きないこと。あるいは、その時間尺で最大限の努力を込められる、才能ある映画監督が起用された場合の演出力。
もうひとつ。ネクストブレイク候補になる新人俳優が全編を通じて腕試しをする様子を定点観測できること。男性俳優の演技を分析する筆者は特に、この新人俳優の定点観測を楽しみにしている。
2024年だと松本まりか主演ドラマ『夫の家庭を壊すまで』を試金石として頭角を現した野村康太が、ダントツで出世頭になった。前年には齊藤京子主演の不倫ドラマ『泥濘の食卓』に出演した櫻井海音が抜群の存在感だった。両者ともに、近年の深夜ドラマで双璧をなすネクストブレイク俳優だ。

画像:テレビ朝日『泥濘の食卓』公式サイトより
近年の深夜ドラマで双璧をなすネクストブレイク俳優
不倫ドラマによって紹介される二世俳優の才能
いずれの作品も主人公の女性キャラクターが、男性キャラクターの不倫に対して異常な執着を示す点で共通している。そのテーマ性をかなり強烈に濃い味付けにして、ドロドロな展開が持続する。 その中で唯一、ピュアな役回りを高校生の息子役として野村康太と櫻井海音にそれぞれ配役されている。そうしたテーマ性や役どころだけではなく、野村と櫻井がいわゆる、二世俳優であることでも共通している。 野村康太の父は俳優の沢村一樹、櫻井海音の父はMr.Childrenのボーカル・桜井和寿である。ディープな深夜帯ドラマで、しかもドロドロ不倫ドラマによって、注目の二世俳優の優れた才能が紹介される。彼らの魅力が一目でわかるように際立つトレンド感がある。