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小3の息子の“一言”でハッとした…「子どもが食べるのが遅い問題」の根本原因とは

 こんにちは、食文化研究家のスギアカツキです。『食は人生を幸せにする』をモットーに、「一生モノの能力を養う食育」についてさまざまな実践法を提案しています。
食事中に退屈そうな子ども

※イメージです

 ある日、保育園児のママからこんな食育の相談を受けました。  うちの子、食べるのがものすごく遅くて悩んでいます。ずっとだらだら食べていて集中してくれない。食べさせ方が悪いのでしょうか? それとも食事内容でしょうか? なるべく叱らずに改善する方法を教えて欲しい。  はい、わかります……。私も真剣に悩んだ時期がありました。親が期待する流れやスピードで食事を済ませてくれることって、本当に奇跡なのかもと思ってしまうほど。そしてこれまでにも、同じような悩みを抱える親御さんにはたくさん会ってきました。  最初に正直にお伝えしたいことは、この問題をすべて解決するような万人向けの回答はないということ。どんなに優れた医師や食育専門家であっても、それぞれの家庭に合わせた具体的な対策法まで指南してくれることはなかなかないでしょう。  しかしながら、私は子育てを実践しながら親子共に無理のない食育を追求する立場として、悩んでいる方の心が軽くなる、解決につながることをお話することは可能だなと考えたのです。さっそく話をはじめていくことにしましょう。気軽に読み進めていっていただけますように……。

叱るべき? せかすべき? 食事内容を工夫すべき?

叱られる子ども まずは、親として食事が遅い子どもにどう対応するか? について冷静に考えてみましょう。  先日、大阪市の公立小学校で、学校給食を複数の児童に無理やり食べさせた担任教諭が、「児童に肉体的負担や精神的苦痛を与えた」として減給処分を受けたというニュースがありました。  これは学校教育という枠だけで考えることではなく、学校であれ家庭であれ、食事指導や食習慣を身につける上で、子どもに肉体的負担や精神的苦痛を与えてはならない、むしろ逆効果であるということが確認できた事例でもありました。  家庭でも、「早くしなさい! ちゃんと食べないと遊ばせないわよ!」などと口調を強めたことがある、厳しく叱責してしまったことがあるという方はいらっしゃるのではないでしょうか? つまり、ついついやってしまいがちではありますが、やみくもに厳しく叱っても良い方向には改善しないのです。

息子の“ある一言”で、はじめに考えるべき根本原因に気がついた

子どもの希望を優先して出した朝ごはん

子どもの希望を優先して出した朝ごはん。確かにすんなり食べてくれましたが、それが正解なのでしょうか?

 だからといって、親が黙ってグッとこらえて、子どもの知らないところで工夫をするのが正解なのでしょうか? 私は正直なところ、そうではないと考えています。  例えば朝ごはんのタイミングに、子どもが食べたくなるような献立を出すことは一定の効果があります。実際に、「クレープやアップルパイが出てきたらすぐに食べられるよ!」と我が子が言うのでやってみたところ、驚くほどスムーズに完食してくれました。  でもどうでしょうか、親にも親の都合があります。家計のやりくりはもちろんのこと、仕事や家事で朝ごはんをゆっくり準備することは無理だと感じるのは自然。そして子どもの機嫌を取ること優先で好きなものだけを出していたら、必ずやひずみも出てくるはずです。  そんなことを考えていたときに、改めて小学生の息子に質問してみました。「なんで早く食べたくないの?」と。そして返ってきた回答は、私にとって想定外の内容でした。 「眠いから!」  このときに、日本で最近深刻化している“子どもの睡眠問題”を思い出したのです。
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日本の子どもの睡眠時間は、世界一短い
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