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ストリートピアノ運営の「苦言」に賛否。街のピアノでトラブルが相次ぐ“日本ならではの理由”

 演奏マナーへの苦情を受け、JR加古川駅のピアノが撤去されてから、およそ2年。またしてもストリートピアノをめぐって騒動が起きています。
(画像:南港ストリートピアノXより)

(画像:南港ストリートピアノXより)

「練習は家でしてください」苦言がネットで拡散

 大阪の商業施設ATCシーサイドテラスに設置されたピアノを管理、運営する「南港ストリートピアノ」が、利用方法に関する注意勧告をX(旧Twitter)に投稿したことがきっかけです。公共のスペースにあるピアノを練習のために使う人への苦言でした。 <こんな掲示はしたくなかった、、というのが正直な気持ちです、、 「練習は家でしてください」 こんなこと書かなきゃいけないなんて想定外でした。間違うのはしょーがないんです、、生身だから でも、人の練習聞かされる側はたまったもんじゃないんです。>
(画像:南港ストリートピアノXより)

騒動のきっかけとなった、南港ストリートピアノ苦言投稿(現在は削除済み)

 これが4000万近いインプレッションと2万弱のリポスト、1.2万のいいね(2025年3月23日 18時時点)を記録し、ネット上では賛否両論が巻き起こっています。(※現在は削除済み) “弾きたい人が自由に弾けるのがストリートピアノだと思っていたけどそうじゃないのか”とか“だったらそれなりの腕前の人を事前で審査するなりすればいいのに”といった意見の他に、そもそもフードコート内に設置している時点でストリートピアノと言えるのかどうかといった声など、運営サイドの声明を疑問視するコメントが見受けられます。  一方で、南港ストリートピアノは言葉を間違えただけで、言っている事自体は正論なのではないかと擁護する人たちも。つまり、南港側は、練習のための練習であるようなひとつのフレーズを反復する演奏に苦言を呈しているのであって、一曲を通して弾こうとする姿勢の中でつっかえたりする分には、それはストリートピアノのコンセプトに沿ったものだから問題はないと言っているのだ、と。  双方の言い分にはそれぞれうなずける点があります。しかし、そこから浮かび上がるのは、そもそもストリートピアノとはなんぞや? この日本でどう扱ったらいいのか、いまだにあいまいなままなのではないか、ということなのではないでしょうか。

加古川でもストリートピアノ炎上

 もともとストリートピアノは、2008年にイギリスで始まった“Play me, I’m yours”という活動から始まりました。音楽を通じて、見知らぬ他者同士が知り合い、ゆるやかなコミュニティを醸成していく。そのツールとして、誰もが親しみのあるピアノという楽器が置かれるようになったわけです。  日本でもヤマハが「LovePiano」プロジェクトを展開し、またピアノ系YouTuberと呼ばれる人たちの存在もあり、ストリートピアノは一躍市民権を獲得しました。
(画像:YAMAHA ストリートピアノ「LovePiano」サイトより)

(画像:YAMAHA ストリートピアノ「LovePiano」サイトより)

 ところが、一昨年の加古川、そして今回の南港ストリートピアノと、同じような理由から同じような炎上をしてしまいました。もちろん、全国各地でルールを守って常識的に楽しんでいる人が多数なのだと思います。しかしながら、大きな問題が起きるときには、何かしら共通点があるように感じます。  というわけで、日本におけるストリートピアノはいったい何がまずいのか、考えてみたいと思います。
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ひとりよがりの演奏になる日本的な理由
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