都心で年収800万円の家庭、地方だといくらで暮らせる?
一見、十分な年収のように思える800万円という数字だが、実際に都心部で暮らす家庭では綱渡りのような生活を強いられていることも多い。その姿を追った――。
「都心部では小学校から私立に通う子供も多く、幼稚園から大学まで私立だと約2500万円。中学から私立でも約1700万円かかります。一方、すべて公立なら約1000万円。地方ではすべて公立の家庭も多いので、およそ700万~1000万円の差が出てくる」と話すのは、ファイナンシャルプランナーの山口京子氏だ。
都心部在住のほうが平均年収は高いといえど、そのぶん出費がかさむ。山口氏も「やはり差が激しいのは、住宅費と教育費」と続ける。
「学習塾の日能研の調査によると、東京の27.6%の家庭が私立学校へ通わせているそうです。最多は千代田区の55.5%。子供2人と考えれば、地方よりも月に約15万円はかかることになる。
また、マンション購入価格でいうと、住宅金融支援機構の調べでは東京都の平均が4525万円で、全国最低の佐賀県の平均購入価格は1869万円になっています。長期固定金利の『ふらっと35』を利用して頭金を2割払ったと考えても、月々のローンの返済額は6万円も違うことになりますね」
その他の支出も加味すると、「都心部と地方ではどのくらい年収差で同水準の生活ができるのか?」という点が、見えてくるという。
「ほかに食費2万円、被服費1万円程度は差があるでしょう。一方で交通費や水道・光熱費は田舎のほうが高いので3万円をマイナスする。すると、都心部のほうが地方よりも、毎月21万円は生活費がかかっていることになります。年間では約250万円ですね」
つまり、世帯年収800万円なら地方では550万円ということ。状況によって差は生じるとはいえ、一つの目安になりそうな数字だ。
―都心部[年収800万円]家庭は火の車だった【12】―
教育費は月15万円増
