介護費は月20万円、夫の不倫…専業主婦のツラい日々
一見、十分な年収のように思える800万円という数字だが、実際に都心部で暮らす家庭では綱渡りのような生活を強いられていることも多い。その姿を追った――。
大手メーカー勤務の夫は年収800万円で安定性もある。そんな伴侶を持つ専業主婦ならば、不自由しないように思えるが……前田加代子さん(仮名・34歳)の表情は取材中、終始暗いままだった。
もともとは共稼ぎだった彼女が退職したのは「夫が中国に単身赴任になったことが決め手だった」と話す。
「というのも義父は認知症で、夫がいない間は私が介護しなければいけないんです。子供うんぬんの前に、それは嫁の務めだと思いましたし、迷わなかった。ただ実際、介護費用はバカになりません。
訪問介護なら一日に5000円近く、ショートステイなら約1万円はかかる。毎日しなければならない家事もありますし、月に20万円程度は介護費用にかかってしまう」
また、義父に何かあれば、常に夫に判断を仰がなくてはならず、「スカイプは頻繁に使うには不便で、どうしても国際電話料金がかさむ」と言う。
しかも、介護問題だけでなく、事態を深刻にしている別の事情もあるとか……。
「夫が単身赴任先で愛人をつくっていたんです。帰国時にたまたま開いていた夫のパソコンで、半裸の女性の画像を見つけて問いつめて発覚しました。私に父親を看てもらっている負い目からか、その愛人とは別れると言ったのですが……」
先日、送られてきた荷物に女物の衣服が交じっていたという。
「夫は正月も帰ってこないのに、私は義父の介護ばかりの日々です。パートに出る時間もないので自由に使えるお金も全然ありません。たいして贅沢がしたいとも思いませんけど、最近はすべてがバカバカしくなるときがあるんですよね」
「夫の給料を好きに使ってしまおうかとも思うけど、性格上そういうことができない」という前田さん。結局、介護は女性に降りかかってくることが多いのが現実なのだ。
◆世帯年収 800万円
(夫:800万円 妻:0万円)
夫妻の平均手取り月収 60万円
住宅費 13万円
食費 5万円
光熱費 3万円
通信費 6万円
介護費 20万円
車費 2万円
贅沢費 1万円
その他(保険など) 5万円
月の収支+5万円
―都心部[年収800万円]家庭は火の車だった【8】―
義父の介護ですり減る精神
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