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「夫に殺意を抱いたことがありますか?私はあります」恋愛作家・村山由佳が語る

 数々の恋愛小説を世に送り出してきた作家の村山由佳さんが、待望の新刊『La Vie en Rose ラヴィアンローズ』(集英社)を上梓しました。まずは簡単にストーリーを見てみましょう。

婚外恋愛で、夫のモラハラに気づき…

<門限は九時、打合せで外出する場合は三日以上前に場所と時間を報告、男性と一対一での打ち合わせは避けること、泊まりの旅行など論外――病的な束縛癖を持ちながらも優しい夫・道彦と暮らす咲季子は、自宅で開くフラワーアレンジメント教室が大人気で、ライフスタイルを紹介する著作もある主婦。 平穏な幸せを実感しつつも、年下のデザイナー・堂本との出会いをきっかけに夫のモラハラに気付き、秘密の婚外恋愛にのめり込んでいく。が、ある夜。すべてを知り激高した夫に対して、咲季子は大切なものを守るため、戻れない道へと踏み出してしまう>  女心の読めない典型的なアラフォーおっさんである筆者は、このストーリーだけを見て、「未知の快楽にハマった不貞妻の堕落の物語」などとタカをくくっていました。  が、不思議なことに、自分とは性別はもとより、趣味、生い立ち、家庭環境のすべてが違う主人公・咲季子に感情移入し、気付けば一気読みしていたことに驚きます。この謎を解き明かすため、著者の村山由佳さんご本人を直撃してきました。
村上由佳

村上由佳さん

最初の結婚生活で受けた傷が、いまだに消えない

――本作を執筆するキッカケについて教えてください。 村山:最初に書こうと思ったのは“殺意を抱く場面”でした。旧知の編集者と集まって話をしていて、「人が誰かを殺めたくなる瞬間ってどんな感覚なのかな」という会話になったとき、「私、本当に殺意を抱いたこと、一度あるよ」と。その状況を克明に話したら、「是非、村山さんの言葉で読んでみたい」となって。 ラヴィアンローズ2――村山さんの実体験がベースになったわけですね? 村山:最初の結婚生活(編集注:村山由佳氏は二度の結婚→離婚を経験している)のときですから10年ほど前のことです。自分が一番大切にしているものを否定されたり、自分でも自信を持っていいと思っていたものを「ない」と言われたり。  それを一番身近な人から言われると、抑圧されている側は最後の手段に出るしかなくなるんです。踏み越えてしまう人も中にはいて、たまたま私は踏み越えずに済みましたが、危うい線だったとは思います。  最初の結婚相手自身に対しては、恩もあれば情もあるしネガティブな感情は消えています。ですが、その私を傷つけた“言葉”というのは、10年経った今でも消えないし、癒えない。そのことを今回、作品を書いていて、改めて感じました。
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「これが幸せだ」と自分に言い聞かせて我慢してない?
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La Vie en Rose ラヴィアンローズ

二度とないと思っていた恋、二度とないと諦めていた自由。夫が作り上げた透明な檻から羽ばたこうともがく咲季子。その「薔薇色の人生」の行方は―新境地を拓く衝撃の長編サスペンス。

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