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星野源は“癒し系”どころか、下ネタでも必死な超努力家

 今年ブレイクした芸能人といえば、なんといっても星野源でしょう。大ヒット中のドラマ「逃げ恥」はもちろん、歌にCMに大活躍。テレビだけでなく、ネットニュースでも名前を見ない日はないのでは?  その人気ぶりはすさまじく、一昨年発売のエッセイ集『蘇る変態』がアマゾンで上位にランキングされるほど。ここまでくると一過性のブームでは片づけられない何かがありそうな気がしてきます。
蘇る変態

『蘇る変態』(マガジンハウス)は今になって10万部を突破。アマゾンのレビューはすべて5つ星って… ※画像をクリックすると、Amazonのページにジャンプします。

 というわけで『蘇る変態』を読んでみると、色々と考えさせられました。パッと見、草食系とか自然体とか思われがちな星野源ですが、それとは真逆でギラついた向上心を隠さない面がうかがえたからです。

下ネタも全力投球! あまりにも努力家な星野源

 タイトルに“変態”とある通り、下ネタはお手のもの。おっぱい、AV女優、パソコンのエロゲームを饒舌に語ったかと思えば、本業の音楽や演技のことも熱く語るギャップ。さらに、くも膜下出血の闘病生活から見えた人生観などを詳細に語っています。  このようにトピックはバラバラなのに、本書のトーンは一貫している。その理由は、エロい妄想をするときも、生死の瀬戸際に立たされた経験を思い返すのも、常に全力投球だからではないでしょうか。  たとえば人の趣味嗜好について語ったこの文章を見てください。 <その日、『パソコンパラダイス』で自慰行為をし、泣いた。実際本当に泣いたかどうかは憶えていないが、涙目になり、心の中で泣いたのだけは確かだ。もう人が好きだというものを馬鹿にすることは決してするまいと心に誓った。> (マンガとアニメ p23)
 この真摯な態度のまま、職業としてのAV女優を肯定する熱さへとつながっていくのです。 <セックスが好きでそれを職業にしたとして、それのどこが悪い。俺は音楽が好きで、芝居が好きで、文章が好きで、それを仕事にしている。それとセックスが好きで仕事にしていることになんの違いがあるのか。> (AV 女優 p121)  こうした意見に同意できない人もいるかと思います。でも、その中に誰も侵すことのできない領域があることだけは分かるのです。それは気の毒になるほどの生真面目さ。  どうでもいいくだらないことをダベっていたはずなのに、気付けば彼の必死さだけが印象に残ってしまう。本来は笑えるはずの話が、笑えなくなってしまうのです。
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「負けるな。頑張れ俺。」
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蘇える変態

“ものづくり地獄”の音楽制作、俳優業の舞台裏から、エロ妄想で乗り越えた闘病生活まで。突然の病に倒れ、死の淵から復活した著者の怒涛の3年間。

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