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星野源は“癒し系”どころか、下ネタでも必死な超努力家

「負けるな。頑張れ俺。」

 トイレで大をするときに、“どれだけ出ればいいのですか”と「万里の河」(チャゲ&飛鳥)の替え歌を熱唱するのもいいだろうと語る一文から読み取れるのは、くだらなさそのものではなく、そんな戯言を考え出すいちいちにも労を惜しまない職人気質なのですね。
働く男

エッセイ集『働く男』(文春文庫)。こちらも売れている ※画像をクリックすると、Amazonのページにジャンプします。

 もちろんそれは一般的には好ましい性質なのでしょう。ただし、過度に懸命な姿勢がはっきりと読者に伝わってしまう危うさにも触れておきたいと思います。 <負けるな。頑張れ俺。限界を超えろ。必ずいい詞が書ける。> (頑張れ p108)  昨日の自分より、今日の自分。今日の自分より、明日の自分。こうした成長幻想の行き着くところは燃え尽き症候群でしかないので、これは少し心配な傾向だと言えそうです。  ともあれ、星野源みたいな“全身努力家”が売れっ子になったエンタメはまだまだ捨てたもんじゃないと思う反面、もっとチャランポランな部分もないと見てる方が疲れちゃうかも。『蘇る変態』はそんな一冊でした。余計なお世話ですかね。 <TEXT/比嘉静六>
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蘇える変態

“ものづくり地獄”の音楽制作、俳優業の舞台裏から、エロ妄想で乗り越えた闘病生活まで。突然の病に倒れ、死の淵から復活した著者の怒涛の3年間。

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