田中麗奈「意外なオファーだった」。初めて演じた“ぶら下がり系”の女性
10代の頃から一線で活躍を続けてきた田中麗奈さん。昨年結婚し、大人の女性としてますます磨きがかかっています。そんな田中さんが結婚後、初めての出演作に選んだのが、現在公開中の『幼な子われらに生まれ』。
再婚同士で家族になった一家の葛藤が描かれる本作で、田中さんは浅野忠信さん演じる不器用な主人公・信(まこと)と、2人の娘を連れて再婚した専業主婦の奈苗を演じています。「意外なオファーだった」という本作について、そして田中さんがなりたい大人の女性像について伺いました。
――なかなかキツイシーンも登場する家族のドラマですね。
田中:そうですね。出演に関しては、重松清さん原作の作品であることと、浅野さんが主演ということ、そして三島有紀子監督(『しあわせのパン』『繕い裁つ人』)ということで興味を持ちました。もちろん決めたのは台本を読んでですけど。ただ役柄としては、今回のオファーは意外でしたね。
――というと?
田中:母親役というのは経験していますが、専業主婦で、監督いわく“ぶら下がり系”(依存度の高い女性)の女性という役柄はこれまでになくて。信の前の奥さん役の寺島しのぶさんが演じているキャリアウーマンとは真逆の女性。なかなかこういう役はなかったなと。
――奈苗には共感できましたか?
田中:個人としては、共感は難しいかな。でも彼女の気持ちも分かりはします。信に対しては妻だけど、女。再婚相手ということもあって、余計に女なのかなと。嫌われたくないという部分があって遠慮もしているし、可愛くいたいと思っている。でも娘たちに対しては母親。だから信に対してと娘に対してでは、トーンが変わってくる。そこは意識的に演じました。
――浅野さんとの共演はいかがでしたか?
田中:嬉しかったです。浅野さんの映画を観て、映画っていいなと思って育った世代ですし。今回は妻役ということで本当に嬉しかったのですが、でも奈苗は「ねえねえ」と甘えていく役柄だったので、浅野さんが私をどう思われたかは分からないです(苦笑)。浅野さんには、セリフを自分に引き寄せるというか、普段自分が使っている言葉に引き寄せていく印象を持ちました。だから本当にナチュラルに演じられるんです。
――信という男性についてはどう思いましたか?
田中:奈苗が「ヒドイ」と信に言うシーンがあるのですが、それくらい言ってはいけないことも口にするので。あなたもストレスがあって大変だろうけど、それを言ってはダメだろうと。奈苗としては命を抱えていますからね、という風に思いました。※奈苗は信との子を妊娠中
――元夫役の宮藤官九郎さんとの共演は?
田中:久しぶりにお会いしたんですが、宮藤さんも、ご自身の役を「笑っちゃうくらいひどいヤツですね」とおっしゃるくらいのDVシーンで。ただ、やはり完成した作品を観ると、宮藤さんから醸し出される哀愁が出ていたので素晴らしいと思いました。
初めての“ぶら下がり系”の女性役
現夫役と元夫役に浅野忠信、宮藤官九郎
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