ホストがいる“愛の書店”が歌舞伎町に誕生!恋愛相談にも対応
先月、新宿・歌舞伎町のホストクラブやラブホテルに囲まれた一角に、“LOVE”をテーマにしたセレクト書店「歌舞伎町ブックセンター」がオープン。店に立つのは、書店員ならぬ「ホスト書店員」と「ホステス書店員」だというから気になります。
この一風変わった書店のオーナーは、元カリスマホストでホストクラブや飲食店を経営する手塚マキさん。書店のプロデュースは、文学カフェ「BUNDAN COFFEE & BEER」などを展開する「東京ピストル」代表の草ナギ洋平さん(ナギは弓へん剪)、本のセレクトは神楽坂の書店「かもめブックス」代表の柳下恭平さんが担当しています。
なぜこの異色の3人が、出勤途中のホストやキャバ嬢、風俗に向かう客が通行人の多くを占めるこの通りで書店をつくることになったのか、話を聞きました。
――歌舞伎町に書店をつくろうと思われたきっかけは?
手塚マキ(以下、手塚):もともと、うちの店のホストたちに教育も兼ねて本を読ませたいと思っていたんです。夏目漱石の『坊ちゃん』を朗読させたり、読んだ本を会社で買い取るシステムも導入してみたり、いろいろやりました。
それは、僕自身が本に助けられたことがあるから。ふとした一行に救われたことがあるんです。歌舞伎町には酒も仲間もいるけど、そこに本もあったらいい。そのことをたまたま知り合った草ナギさんに話したら、一緒につくろうって言ってくれて。草ナギさんの紹介で柳下さんにも参加してもらいました。
――なぜ、“LOVE”をテーマに?
草ナギ洋平(以下、草ナギ):手塚さんが「歌舞伎町は愛のラビリンス」だと言っていたのが印象的だったんです。ホストとか、歌舞伎町に生きる人たちは愛のプロフェッショナルみたいな印象が持たれているけれど、実はそうじゃない。みんな騙し騙されて、本当の愛に辿り着けていない。じゃあ、テーマは“LOVE”にしよう、と。
手塚:歌舞伎町に“愛の書店”があることで、そういった愛に迷う人たちの相談にのったり、愛について考える場になれたら、それはそれで意義のあることだと思ったんです。

――ちょっとイジワルな質問になりますが、たとえば、坂口杏里さんがこの店の前を通りがかったら、どんな本をすすめますか?
草ナギ:坂口さんは世間的には「ホスト狂い」と思われているかもしれませんが、自分を上手に愛すことができないからこそ、人に愛を求めているのではないでしょうか? 心がぽっかり空いている。心の穴を埋めるには、読書が一番です。まずは自分を見つめ直し、最終的に自分自身の人生を肯定できるようになれる本がいいでしょう。
例を挙げるなら、二村ヒトシさんが書いた『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』(文庫ぎんが堂)をオススメしたいです。AV監督でもある二村さんがAV業界で働く女性を見続けた結果、女性のために書いた本で、単なる男性目線の本ではまったくありません。AV女優としても働く坂口さんにとって、まずは手にとって欲しい本ですね。

――ここに並ぶ本はすべて黒と赤とピンクの帯がつけられていますね。どういう意味があるんでしょう?
柳下恭平(以下、柳下):ここには“LOVE”をテーマに約2000冊並んでいるんですが、“黒のLOVE”は夜や闇。“赤のLOVE”は情熱だったり、家族愛だったり、一途な愛。“ピンクのLOVE”は官能あるいはファンタジー。でも、色にしたのはカテゴリを言語化したくなかったからなんです。「黒はドロドロした愛」っていうと、作品のイメージが狭まってしまうから。
草ナギ:『失楽園』の帯もピンクにしているんですけど、人によっては黒だと思う人もいるかもしれませんよね。愛のかたちはさまざまで、そういう違いを発見するのも楽しいと思います。
柳下:この本はピンクなのか黒なのか、そういう会話をホスト書店員やホステス書店員と気軽に楽しんでほしいですね。ホステス書店員は皆、書店員経験のある女性なんですが、ホスト書店員は現役ホスト。たとえば、彼らに恋愛相談しながら本を選んでもらってもいい。本を売っていますが、この書店のウリはコミュニケーションでもあるんです。
手塚:ちなみに今、ホスト書店員とホステス書店員を募集中です! あと、年中無休で朝5時まで本が買える、というのもウリですね。これって日本初なんじゃないかな。実は、歌舞伎町に書店ができること自体、初なんです。厳密に言うと、シオダヤっているスーパーの中に本を売るスペースはあったんですけど、エロ本しかなかったから(笑)。
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最後に、お三方にそれぞれ黒、ピンク、赤のLOVEからおすすめの本を選んでもらいました。
歌舞伎町は愛のラビリンス


坂口杏里の心の穴を埋めるのは読書?

ホスト書店員は現役ホスト


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