●手塚マキさんはピンクの帯から:『リバーズ・エッジ(オリジナル復刻版)』(岡崎京子/宝島社)

僕はこの漫画が世に出た90年代からホストをやっていたんですが、ちゃんとその時代のカルチャーに触れていなかったんです。その時この本のような世界を知っていたら、違う人生だったのかもしれないな、という気がするんです。視野が狭かったなって。いろいろな人がいていい、という「赦し」があると思ったんです。歌舞伎町の人たちにも読んでもらいたいですね。
●草ナギ洋平さんは黒の帯から:『日本の夜の公共圏~スナック研究序説』(谷口功一、スナック研究会/白水社)

最近、ホリエモンさんなど一部の人がスナックに注目しているんです。チェーン店よりもオリジナリティのある店を求める人が増えている中、スナックはまさにオリジナリティの塊だと。ただ、スナックっていったいいつからあるのか、はっきりわかっていなかった。この本は、大学の教授などの真面目な方々や都築響一さんなどスナックを愛する方々が、スナックの成り立ちについてはじめて学術的にまとめた本なんです。スナックの魅力が社会学的にも、文学的にもわかる素晴らしい一冊です。
●柳下恭平さんは赤の帯から:『スメル男』(原田宗典/講談社)、『あなたは、誰かの大切な人』(原田マハ/講談社)

赤い帯がついている本の中には、家族をテーマにしているものがいくつかあるんですが、こちらの2冊はその中のもの。実は、原田宗典さんと原田マハさんは兄妹なんです。どちらも家族について書いていて、愛を取り戻していくという話が描かれています。本を選ぶ時、あともう1冊何にしよう、と思ったら、こういうテーマで選んでみても楽しいですよ。
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「歌舞伎町ブックセンター」はカフェ&イベントスペース「Jimushono1kai」内に併設されています。書店員がいるのは朝11~夕方5時までですが、飲食店として営業している朝5時まで本を買うことができるそう(夕方5時以降は飲食店として営業するためチャージ料が発生します)。
歌舞伎町のド真ん中に昼からくつろげるカフェがあるのも貴重ですが、朝までやっている書店があるのもうれしいですよね。ただ、「Jimushono1kai」は日によってカラオケスナックや演劇の舞台と化すカオスなスペースなので、夜、落ち着いて本を選びたい時は事前に催しがないかご確認を。

<TEXT/女子SPA!編集部 PHOTO/林紘輝>