橋本マナミ「瑛太さんとのラブシーンはノーカット」。問題作『光』を語る
しっとりとした美貌の「国民の愛人」としてグラビアを飾るほか、ドラマやバラエティなどでもマルチに活躍する橋本マナミ。近年はNHK大河ドラマ『真田丸』で細川ガラシャ夫人を清楚に演じるなど、女優としての幅を広げています。
そして、11月25日より公開中の大森立嗣監督の最新作『光』では、浮気をしている間に子供がいたずらされてしまう団地に住む主婦、南海子を熱演。妻、母、女としての“性”をときに気だるく物憂げに、ときに激しく官能的に演じ、話題を集めています。
本作で新境地を開いた橋本さんに、映画の見所や役作りについてお話を伺いました。
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【映画『光』のあらすじ】
舞台は東京の小さな島・美浜島。14歳の黒川信之(福崎那由他)と美花(紅甘)は大人たちの目を盗んで逢瀬を重ねる恋人同士だった。父親に虐待を受け続けてきた10歳の輔(岡田篤哉)は、ある日、信之と美花が人を殺すのを目撃してしまう。ところが、その瞬間、大津波が島を襲い、3人と大人数人を除いて島は全滅する。
25年後、3人は別々の人生を歩んでいたが、輔(瑛太)が信之(井浦新)の前に突然姿を見せ、信之と美花(長谷川京子)を脅す。さらに、信之の妻、南海子(橋本マナミ)が輔と浮気をしている間に娘の椿(早坂ひらら)がいたずらされてしまい……。
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――「脚本を読んで『光』の世界に引き込まれた」とのことですが、どういった点に引き込まれたのですか?
橋本:まず、予測がつかないストーリー、そして、登場人物みんなの想いが繊細に描かれているところです。登場人物それぞれの心のひだに隠れた本能や想いが繊細に描かれているので、色々な視点から何度読んでも本当におもしろい。日ごろからたくさん小説を読むのですが、移動中にも歩きながら読むくらい、この物語には夢中になりましたね。
――タイトルの『光』はなにを表していると思いますか?
橋本:登場人物は全員、救われない人生のなかで背負う闇が深すぎて、光を見失なっています。でも、日常のなかで一本の“光”はあってほしい……そんな生きる希望はあるはずだ、と私は思います。この映画は色々な見方があると思うのですが、暗闇に向かう光、未来に向けた明るい光、こういった光が登場人物にも、映画を観る皆さんにも見えたらいいな、と感じます。
――平凡な主婦である南海子が、夫も子供もいるのに浮気する心理をどう思いますか?
橋本:南海子は、自分が描いていた理想の家庭とはかけ離れた結婚をしていたんです。例えば、団地ではなくて新築のキレイなマンション、もっとリッチでかっこいい夫と結婚して優秀な子供を産み、育てたかった。そういった理想を夫の信之は決して叶えてくれない。
なによりも、信之が自分を見ていない。なのに、自分は毎日同じ生活を送っている……。そういった物足りなさや不満を抱えていたからこそ、輔のような男性と浮気をしたのではないでしょうか。
とはいえ、南海子も輔を好きになったわけではない。輔との浮気は満たされない日常のはけ口になる、心のより所だったのかなと思います。

――南海子の役で一番難しかったところは?
橋本:私自身、子供がいないので、自分の子供が強姦されたことを輔に告げる、草むらでのシーンが一番難しかったですね。あの場面は、一瞬で感情を爆発させなくてはいけない。でも、監督のアドバイスどおり、「相手役を信用して、一言一言感じたままに演じる」ことに集中したら、想像以上の感情があふれ出てきたんです。
――確かに、あのシーンは印象的でした。瑛太さんとは激しいラブシーンもありましたよね。
橋本:私、いままでラブシーンをたくさん演じているのであまり抵抗はなかったんです。それでも、過去のラブシーンではカットされた演技も結構あったのですが、今回の瑛太さんとのラブシーンではノーカット(笑)。実際、瑛太さんは撮影の初日から輔そのもので、とても自然に演じることができました。ただ、瑛太さんが私の足を舐めるシーンでは、撮影直前にウェットタオルで3回ぐらい拭いちゃいましたけどね(笑)。
闇のなかに光はあるのか?
平凡な主婦が好きでもない男と浮気するとき

足を何度も拭いて、瑛太とのラブシーンに臨んだ

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