しゃべれない息子の笑顔が、人と人をつないでいく<発達障害のリアル>
【ぽんちゃんはおしゃべりができない Vol.5】
小学生5年生の娘と小学2年生の息子を持つシングルマザーの筆者が、発達障がいの息子・ぽんちゃんとのドタバタな日々を綴ります。
<前回のあらすじ>
2歳なのに言葉を発さず、歩こうともしないぽんちゃん。「いつか普通になるよ」という周りの親切な言葉が心に突き刺さる……“普通”ってなんなの? そんな時、ぽんちゃんが何の前触れもなく歩きだした。
ぽんちゃんが“みんなと違う”とわかってから、ふと、落ち込むことが多くなった。この子は、友達と仲良くできるのだろうか。果たして友達はできるのだろうか。それ以前に、社会に必要とされるのだろうか。この子は、私がいなくなったらどうするのだろうか。考えるほどに、不安は募る。
でも、私が落ち込んだら、ぽんちゃんが元気に暮らせるはずがない。我が家が楽しくなければ、さらに落ち込んでしまう。それなら、ぽんちゃんをふくめ、私と2歳上のみーちゃんが、毎日笑っていられるように過ごすことにしよう。将来のことを考えて暗くなるよりも、毎日楽しく暮らして笑顔を積み重ねた方が、楽しい未来が待っているに決まっている。
わからないことは、考えたってわからない。それなら、少しでも前を向くために、やれることはぜんぶやってやろう。そして、ぽんちゃんとみーちゃんが、「今日も楽しかった!」と思える毎日を過ごそう。そう私は決めたのだ。一家の主は私。パパであり、ママである私は、すべての主導権がある。それなら、その権利を振りかざして、この子たちを毎日楽しませることにした。それと同時に療育も始めたのだが、それはまた次回に。まずは、プライベートで、やれすぐにやれることを始めたのだ。
それからは、保育園の後にお友達を誘っていっしょに夕飯を食べたり、土日はできるだけ遠出をするようにした。音楽フェスにもライブにもいったし、お祭りと名の付くものには顔をだし、プールに海、旅行は北海道から海外まで、子供が低料金のうちに見せたいものは全部見せてやろうと腹をくくったのだ。ある意味、“考える暇を作らない”。その思考に近かったのかもしれない。
でも、フェスに行けば初見のキッズたちと一緒に踊り狂い、アイドルライブに行けば一緒にサイリウムを振る。浴衣をきてお祭りに行けばおみこしに乗らせてもらい大はしゃぎ、グアム旅行に行けば肌の黒いプロレス選手のようなのバスの運転手さんの膝にのせてもらい運転してもらうことも。
気づけば、ぽんちゃんに“敵”はいなくなっていた。
ぽんちゃんは誰にでも笑顔を振りまくからこそ、相手からも笑顔をもらえる。そして知らないうちに手をつなぎ、写真に納まり、ピースをする。ときにおみやげをもらい、相手は笑顔でまたねと手を振ってくれるのだ。そこにぽんちゃんが持たない言葉は、必要はない。
以前、こんなことがあった。
落ち込む暇がないくらい楽しんでやる!


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