連ドラ『健康で文化的な最低限度の生活』はイライラしながら観るのが正解!
第5話(8月14日放送回)の放送を終えた『健康で文化的な最低限度の生活』(関西テレビ)になんだかイライラしています。
今回は、主人公・義経えみる(吉岡里帆)がケースワーカーとして勤務する生活課に、生活保護の受給を希望する男・島岡(佐野岳)が来訪。父親との連絡をかたくなに拒む島岡に手を焼くえみると、その対応をめぐって対立する上司たちが描かれました。
何がイライラするかって、ウツだと言う島岡にみんなまぁ冷たい。面談で何も答えようとしない彼に対応した先輩はいかにもうんざりした様子。話を聞いた周囲も「面倒だ」とうなずき、淡々と仕事を進める古参の石橋(内場勝則)はウツさえ疑う始末です。
年若い係長・京極(田中圭)は、本人が嫌がろうともあくまで「扶養照会」(親族に援助が可能かを確認すること)をルールにのっとって進めるようにえみるに指示。ベテランの先輩でえみるの指導係である半田(井浦新)だけは島岡の様子に疑問を感じ、「扶養照会」を保留にすることを提案します。
そして、新入社員として(だいぶ前に)働いていた女子としては、親近感を覚えるのがやっぱり主人公のえみる。だけど、イライラを通り越して、もはやイタイタしい。
えみるは、「扶養照会」を進めようとする京極と、それに反対する半田のそれぞれの意見を聞き、どうするべきか揺れます。でも、落ち着きがなくて会話が成立せず、態度も悪く感じられる島岡(佐野岳の絶妙な演技!)にえみるはイラッ。「私めっちゃ説明したんだよ。それなのにさあ」と同期にグチる姿は、働く女子トークではあるあるなものだから、思わず苦笑い…。

『健康で文化的な最低限度の生活』関西テレビ 公式サイトより https://www.ktv.jp/kbss/index.html
“間違った対応”にイライラ…
島岡の視点で描かれる描写や、不穏な空気をあおる挿入曲のおかげで、私たちは彼が見過ごしてはならない大きな問題を抱えていることがわかっているだけに、彼らの“間違った対応”にイライラしてしまいます。でも、これが現実のような気も。日々利用者を相手にしていれば慣れてしまって鈍感になってしまうでしょうし、いかんせんみんな忙しい。 実際には、もちろん利用者の気持ちにもっと寄り添えるケースワーカーもいるでしょうし、中にはもっとひどい態度をとる人もいるかもしれません。登場人物のそれぞれの立場や経験から導かれる態度が錯綜する描写に、生活保護のリアルな現場を感じるのです。
主人公・えみるはイタイタしい
その後、菓子折りを持って現れた島岡の父親(小市慢太郎)は立派なお医者さん。うやうやしい態度で息子と行き違いがあったと非を認めて扶養したいと言っているのだから、そりゃあ信用してしまうでしょう。 実家に帰れば母親が駅まで車で迎えに来てくれて、彼女のために作られた大量の料理を家族と囲みながら仕事ぶりを労(ねぎら)ってもらったえみるは、まさかこの父親が島岡のウツの元凶とは思いません。 父親の話に「そうだったんですね~」と、ベテラン職員よろしく訳知り顔で対応するえみるがまたイタイ。まるで仕事を覚え立ての頃の自分のようで。いや、今もかも…。
1
2