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新垣結衣にセクハラ&パワハラの嵐…『けもなれ』はラブコメじゃなかったの?

 秋クールも新しいドラマが続々とスタートしてきましたが、断然注目したいのが、新垣結衣&松田龍平主演の『獣になれない私たち』(日本テレビ系、水曜夜10時~)です。初回の視聴率は11.5%でした。
『獣になれない私たち』

『獣になれない私たち』日本テレビ公式サイトより https://www.ntv.co.jp/kemonare/

 脚本は『逃げるは恥だが役に立つ』(’16年)『アンナチュラル』(’18年)と近年ヒットを連発している野木亜紀子。  主人公はECサイト制作会社の営業アシスタント・深海晶(新垣)と、個人事務所の会計士&税理士の根元恒星(松田)。この二人を中心に物語は繰り広げられていきます。

初回はライトなラブコメを期待した視聴者へショック療法

 初回では晶が勤める会社を舞台に、常にブチ切れて怒鳴ってばかりの社長や、調子よく面倒な仕事を回避する後輩、不始末に対する土下座をさせた後で頭をポンポンなでる取引先の男など、容赦ないパワハラ&セクハラが晶に浴びせられました。  さらに、行きつけのクラフトビール店の顔見知り客である恒星からは「笑顔がキモい女」と陰口を叩かれる始末。しかし、その恒星もつきあっていたはずの彼女から「別の男と結婚する」と突然聞かされ、平静を装いつつも、ある夜、酔って荒れた(ように見えた)晶を誘おうとします。  そのあまりの踏んだり蹴ったりぶりに、ポップでライトなラブコメを想像していた視聴者はガーンと頭を鈍器で殴られたような衝撃を受け、ネットでは「ガッキーがかわいそう」「辛すぎてこれ以上見ていられない」といった声が噴出しました。  しかしながら、裏を返せばそれだけ期待していたことの表れ。視聴者を初回で引きつけるある種のショック療法だったと思いますが、ここから先、ストーリーは「仕事」と「恋」という極めてシンプルなテーマに集約されていくでしょうから、それぞれの行方や関係性も含め、期待値は上がっていく一方だと思われます。

「仕事」と「恋」の徹底したリアルにクギづけ

 では、なぜそこまでこのドラマに心をつかまれるのでしょう。まず第一に、野木亜紀子さんの脚本が持つ力が挙げられます。  筆者は「週刊SPA!」(10月23日号)で野木さんにインタビューをさせていただきましたが、巷(ちまた)の高い評価に決して浮つかず、終始冷静にコメントをする彼女の“地に足ついた感”がとても印象的でした。
 映画専門学校を卒業後、ドキュメンタリー番組の制作会社に勤めた経歴を持つ彼女は、さまざまな仕事を通じ徹底して物事を客観的に見る目線を培(つちか)ったものと思われます。  第1話の「新しい恋ができたら、何か変わるのかな」(晶)や「バカになれたら楽なのにね」(恒星)といったセリフやエピソードがいちいちリアルなのも納得です。会社員時代、忙しくて映画館やレンタルショップに行く暇もなく、撮り溜めたドラマを家でまとめて見るのが週末の楽しみだったという彼女の実体験も本作には反映されているかもしれませんね。  また、ドラマ好きである野木さんはインタビューで「大事なことはセリフやナレーションで言ってはいけない」とも語ってました。たくさんのドラマを見て感じた見る側としての違和感を、自らがつくる側に回ったときに視聴者に感じさせないよう肝に命じた教訓なのでしょう。本作でもそのこだわりがどう表現されるか楽しみです。
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「本当の気持ち」を押し殺さざるを得ない男女
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