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IQ185でハーバード卒でも仕事・友達ゼロの女性。彼女が幸せを見つけた方法とは

 アン・ハサウェイ&ロバート・デ・ニーロW主演の『マイ・インターン』(2015年)に元気をもらった働く女性は多いのでは? 10月20日(土)に公開される『マイ・プレシャス・リスト』は、『マイ・インターン』を手がけたプロデューサーが女性監督とタッグと組んで、世の中の悩める女性に贈る物語。まさに女性による女性のための、パワフルなガールズムービーなのです。



『マイ・プレシャス・リスト』あらすじ


 11月下旬、感謝祭や来るクリスマスに人々の心は踊り、街中に柔らかでロマンチックな灯がともるマンハッタン。そんななか、一人暮らしのキャリー(ベル・パウリー)は、アパートメントに引きこもって本を読んでばかりの毎日を送っています。話し相手は、セラピストのペトロフ(ネイサン・レイン)ぐらい。

『マイ・プレシャス・リスト』より

『マイ・プレシャス・リスト』より

 IQが185もあり、飛び級でハーバードを卒業した才女なのに、仕事ゼロ、恋人ゼロ、友人どころかコミュ力もゼロの彼女は、ある日、ペトロフから6つの課題(プレシャス・リスト)を与えられます。それは、「ペットを飼う」「子供の頃好きだったことをする」「デートに出かける」「友達を作る」「1番お気に入りの本を読む」「誰かと大晦日を過ごす」というもの。

『マイ・プレシャス・リスト』より

『マイ・プレシャス・リスト』より

 最初はバカバカしいと思いながらも、アパートメントの家賃を払うためにアルバイトを始めたキャリーはひとつひとつ課題をクリアしていきます。さあ、お次はデートの相手を探すこと! さっそく新聞広告で相手を見つけますが……。

名作『フラニーとゾーイー』が表す天才・キャリーの葛藤


 やがて「1番のお気に入りの本を読む」という課題に取り掛かろうとしたとき、昔のイタい失恋を思い出したキャリー。実は大学生のときにハリソン教授(コリン・オドナヒュー)と付き合っていたのでした。しかし、2人の関係はうまくいかず、彼に貸したキャリーの大切な本、J.D.サリンジャーの初版『フラニーとゾーイー』も返ってこないまま。

『マイ・プレシャス・リスト』より

『マイ・プレシャス・リスト』より

 1955年に発表された『フラニー』と1957年に発表された『ゾーイー』の連作二編を小説にまとめたものが『フラニーとゾーイー』。『ライ麦畑でつかまえて』に並ぶサリンジャーの代表作であり、アメリカ青春文学の金字塔といわれています。

 ゾーイーは、グラース家の7人の兄弟姉妹(男5人、女2人)の下から二番目の末弟で、フラニーは一番下の娘。7人全員が『これは神童』という子供のクイズのラジオ番組に次々と出演したという天才でした(※1)。

 けれども、長男は自殺、別の兄は第二次世界大戦で戦死してしまいます。それゆえに、残された家族の絆はさらに強くなり、末弟のゾーイーと末妹のフラニーは家族以外の人と人間関係を築くのが難しくなっていました。その上、兄たちから宗教哲学や東洋思想を叩き込まれたばかりに、フラニーとゾーイーは必要以上に高い精神的理想を掲げるものだから、俗世では生きにくい……。

『マイ・プレシャス・リスト』より

『マイ・プレシャス・リスト』より

 なぜ、この小説がキャリーの失恋のメタファーとして使われているのか? それは、フラニーとゾーイーがキャリーのように天才であったということももちろんですが、キャリーも彼らのようにほかの人間に心を開くことなく、“エゴのない純粋な自分でありたい”と思う理想と、“未熟な自分”という現実の狭間で葛藤しているから。

『マイ・プレシャス・リスト』より

『マイ・プレシャス・リスト』より

 作中、6つの課題に挑戦していくことで、キャリーは様々な人々と関わり合い、誰もが問題や悩みを抱えていることに気がつきます。変わり者だけれど、自分の気持ちに素直な友人たちと知り合い、彼らを受けいれ、受け入れられることで、自分は“完璧”でなくてもよいと思えるようになっていきます。本作に『フラニーとゾーイー』が盛り込まれているのは、“完璧な自分でなくてもよい”“ありのままの自分が本当の自分なんだ”という、自己肯定のメッセージが込められているのではないでしょうか。

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「アンデルセンの銅像」も注目ポイント

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『マイ・プレシャス・リスト』は10月20日(土)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー




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