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三浦大知、両陛下の曲を披露へ。“アムロの後輩”だった天才児伝説

 2月24日に国立劇場で開かれる天皇陛下の在位30年記念式典で、三浦大知(みうらだいち、31、沖縄出身)が歌を披露することになりました。しかも、その曲が、天皇陛下が作詞をされ、皇后陛下が作曲をされた「歌声の響」(オリジナルは2015年、ソプラノ歌手・鮫島有美子)だということが、大変な話題を呼んでいます。
三浦大知

三浦大知『Blizzard』2018.12

 最近では2年連続で紅白への出場も果たし、“歌って踊れるエンターテイナー”という地位を確立した三浦大知ですが、実は20年以上のキャリアを誇るベテランなのです。

9歳でデビューした“和製マイケル・ジャクソン”

 1997年に、あの満島ひかり(33)も在籍した「Folder」の一員としてデビューしたのが9歳のとき(Folderは、沖縄アクターズスクールの小中学生7人によるグループで、安室奈美恵やISSAの後輩にあたる。1997年デビュー当時、フジテレビ『ポンキッキーズ』に安室奈美恵の後継として出演していた)。
folder

folderのデビューシングル「パラシューター」(1997)。フジテレビ『ポンキッキーズ』に出ていた

 当時からバツグンの歌唱力を誇り、2000年に発表したジャクソン5の「I Want You Back」のカバーでは、子供時代のマイケル・ジャクソンが乗り移ったかのような、驚きのパフォーマンスを披露しました。  それがきっかけでついたニックネームが、“和製マイケル・ジャクソン”。歌もダンスも高いレベルでこなせる彼への、最高の賛辞でした。 三浦大知 そして、「Folder」時代にもうひとつ忘れることのできない名曲が生まれます。それが、「Everlasting Love」。SMAPの「らいおんハート」の作者としても知られるコモリタミノル(59)の手がけた作品で、男性Jポップの頂点のひとつに挙げたいほどの素晴らしいバラードでした。当時リアルタイムで耳にした筆者も、とんでもなくいい曲にすさまじい歌だと、興奮したのを覚えています。  ややもすれば、ビートの強い曲か、優しく歌い上げるバラードか、どちらかに偏ってしまいがちですが、小さい頃から三浦大知の歌にそんな心配は無用でした。“歌がうまい”などとわざわざ言うのが失礼に思えるほど、高い水準にあったのですね。

声変わりで5年休業、ダンスを磨く

 順風満帆かと思われたキャリアですが、変声期のため2000年にグループを脱退し、5年間もの休養を余儀なくされました。しかしその間にダンスレッスンに集中できたことが、現在のスタイルの土台となったのかもしれません。  2005年にソロとして再デビューを果たしてからは、「EXCITE」や昨年の紅白でも披露した「Be Myself」などのヒット曲がありますが、筆者が一番驚いたのは「Can You See Our Flag Wavin’ In The Sky?」(2013年のアルバム『The Entertainer』収録)という曲でした。複雑な和音と、一本調子ではないリズムなのに、ひとつの“うた”として聞かせてしまう説得力に圧倒されたのです。  これには、音楽チャンネルで流れた瞬間に心奪われました。Jポップ的、歌謡曲的に安心できる盛り上がりが一切ないかわりに、楽曲の進行やサウンドのデザインで確かな世界観を作り上げてしまう。それをダンスとセットのエンターテイメントとしてやってのけてしまうスケールの大きさが、唯一無二だと感じました。  というわけで、2月24日に三浦大知がどんな歌を聞かせてくれるのか。いまから楽しみですね。 <文/音楽批評・石黒隆之> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
石黒隆之
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。いつかストリートピアノで「お富さん」(春日八郎)を弾きたい。Twitter: @TakayukiIshigu4
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