ママが撮った娘の写真が話題「なぜ女の子はお姫様かスポーツ選手の片方だけなの?」
「男らしい」「女らしい」の境界線があいまいになりつつある昨今。イギリスの航空会社バージン・アトランティックがキャビンアテンダントにノーメイクで働くことを許可しましたし、女としての幸せを「結婚・出産」と安易に直結して語ることは性差別と捉えられてもしかたのない時代です。
そんな中、ポスト#MeTooフェイズに突入したアメリカで、将来をになう子どもたちをステレオタイプで縛る考えに物申す写真が話題に。一人のママ・フォトグラファーの考えが全米で共感を呼んでいます。
アラバマ州で写真スタジオ「HMPスタジオ」を営むママ・フォトグラファー、ヘザー・ミッチェルさんがフェイスブックに一つのテーマに沿った少女たちの写真を投稿したところ、数日間で20万回近くシェアされ話題になりました。
『アップワーシー Up Worthy』によると、娘との最初の撮影はわずか3分で済んでしまったというミッチェルさん。ジェンダーによって決めつけられた時代錯誤なイメージに対し、どのような写真で反論するべきか明確に分かっていたといいます。
ニュースに取り上げられたのはその後、同じような写真撮影を希望した少女たちと彼女の娘ペイズリーちゃんが写った6枚のシリーズ写真。5月10日現在までに2万8000のいいねと3万6000件のコメントがつき、19万2000回シェアされています。
当初、自分の投稿がバズっていることも知らずに休暇でメキシコに出かけていたミッチェルさんは、スマートフォンに何百件ものシェア通知が届いていたのを見たとき、「これはなにかの間違いだ」と思ったそう。
「私たちの写真がこんなに多くシェアされるはこれまでありませんでした。撮影に来た子どもたちのご両親が祖父母や親戚にシェアしたのかなとも思いましたが、その晩寝るときにはフェイスブックが不具合を起こしているにちがいないという考えに落ち着きました」

「女の子っぽいガーリー/男勝りのトムボーイ」どちらか選ばなきゃいけないの?
注目されたのは、可愛らしくメイクをし、プリンセス風のドレスとティアラで着飾った少女たちが、ソフトボール用のグローブやバスケットボールを持ち、スパイクを履いて、こちらをキリっとにらんでいる写真。 証明写真でさえ笑顔で撮るのが「良し」とされるアメリカにおいて、どの女の子も笑っていないのが特徴的。「かわいい」と「かっこいい」が混在した写真には「Because you can do it all(だって、あなたは何にだってなれるんだから」というキャプションが付いています。
『トゥデイ Today』の取材によると、一連の写真を撮るきっかけになったのは、ミッチェルさんが娘のソフトボール大会へ観戦に行った際、ママ友から「お嬢さんはアスリートタイプじゃないわね。女の子っぽいもの」と言われたことだったとか。 これに対し、少女たちが成長していく過程で「ガーリーガール(女の子っぽい)」か「トムボーイ(男勝り)」のどちらか一つを選ばなければならない風潮に疑問を感じ、自身の専門分野で一石を投じようと思い立ったそうです。
全米に勇気を与える写真!バズったので撮影ツアーも行います
予想を超える大きな反響を受けて行った追加のフォトセッションは募集から1時間で満員となり、『USAトゥデイ USA Today』によると現在は3カ月先まで予約でいっぱいだとか。 好評につき夏には「Because you can do it all(だって、あなたは何にだってなれるんだから」セッションと題して、全米各地に撮影ツアーに出かけることも決まっているそうです。
コメントの中には「かえって女らしさが強調された写真になっている」との批判的な意見もいくつか見られますが、大多数は「素敵な写真」「まさにうちの娘もこんな感じ」「勇気づけられる」と好意的。 小さな写真スタジオから生まれた大きなムーブメントが、少女たちの人生を大きく変えていきそうです。 <文/アメリカ在住・橘エコ> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 Sources:「Today」「Up Worthy」「USA Today」
橘エコ
アメリカ在住のアラフォー。 出版社勤務を経て、2004年に渡米。ゴシップ情報やアメリカ現地の様子を定点観測してはその実情を発信中。