「分家は本家に絶対服従」の地方で、女性は召使い同然ってホント?
東京や大阪など、都市部で生活する人はあまり気にしませんが、地方では本家・分家というのをやたら気にする人もいるようです。
訪問介護のデイサービスセンターの経営をはじめ、ネット通販や飲食店オーナーなど複数の事業を展開する石野真実さん(仮名・43歳/会社経営者)ですが、他の親族たちを見下してくる本家の叔母親子の偉そうな態度にへきえきしているといいます。
「新潟でも内陸の山間部の出身なのですが、本家や分家の役割がハッキリしていて、偉いのが本家で分家はそれに従うのが当たり前になっています。
もちろん、私たちより下の世代はそういうのをあまり気にしませんが、上の世代になるとそうはいきません。特にタチが悪いのが叔母(50代)で旦那さんを婿養子にもらって本家を継ぎ、一族の中で自分が一番偉いと思っています」
ほかの親戚たちをアゴで使い、そんな母親を間近で見てきたせいか、その娘である従兄妹も威張り散らしてくるそうです。真実さんもできれば距離を置きたいと思っていますが、それを許さない一族の決まりが足かせとなっています。
「明文化されているわけじゃないですけど、帰省した日かその翌日には本家に挨拶しに行かなきゃいけないんです。
けど、叔母も従兄妹も完全に上から目線。私が地元を離れ、会社経営をしていることも気に入らないのでしょう。毎回飽きもせず結婚や出産の予定を尋ねてきて、『女性は家庭を守って旦那さんを支えるべき』とかステレオタイプな価値観を押し付けてくるんです」
でも、独身とはいえ、真実さんには10年近く付き合っている8歳年上の恋人がいます。そのことも話したそうですが、お互い籍を入れるつもりがないことを伝えると、「そんなのは非常識!」と持論を振りかざして説教してきたとか。

「本当はカレが私の田舎に行ってみたいというので一度連れてこようと思いましたが、叔母に出くわしたら何を言われるかわからないので諦めました。両親が健在だったら守ってくれたでしょうけど、2人ともすでに亡くなってしまったので。
地元には結婚した弟夫婦が住んでいますが、私が叔母親子に反論して立場が悪くなっても困りますし、何を言われても我慢するようにしています」
盆や正月には親戚一同が本家に集まりますが、毎度のように叔母親子からあれこれと言われることに嫌気が差し、ここ数年は帰省を控えているそうです。
「どうせ戻ったところで私は調理や買い出し係ですし、身体が休まるヒマがありません。いつも分家の女性数人で担当しているのですが、叔母も従兄妹も指図するだけで一切手伝おうとはしません。どうしてそこまでしなきゃいけないのかって思ったら、なんだかバカらしくなっちゃって」
最近は休暇になると旅行をしたり、弟夫婦を東京に呼んで一緒に過ごすという真実さん。そのため、叔母からは盆や正月が近づくと「今回は戻ってくるんでしょ?」と電話で帰省を催促されるといいます。

「人手が足りないので休めないとか適当な理由をつけてスルーしています。電話でも嫌味を言われることもありますが、仕事中だといって途中で切っちゃいます(笑)」
本家だからといって偉そうな態度を取ることが理解できず、「あんな親戚がいる田舎に戻って暮らすなんて一生ありえない!」と断言します。
「分家でも男性にはそこまでキツく接しないですが、女性のことは召使いや奴隷だと勘違いしている人たちですから。そこまでこだわる割に由緒正しい家柄でも何でもない普通の家なんですけどね」
ここまでひどくはないにしても地方には本家・分家や跡取りなどを気にする人が多いのも事実。昔ならいざ知らず、今のご時世、本家だから偉いってわけじゃないんですけどね。
―シリーズ「地方の闇/都会の闇」―
<文/トシタカマサ イラスト/カツオ>
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トシタカマサ
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。