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発達障害の息子が見せてくれる世界は、いつも自由で楽しいことだらけ

ぽんちゃんはおしゃべりができない Vol.14】  小学6年生の娘と小学3年生の息子を持つシングルマザーの筆者が、発達障がいの息子・ぽんちゃんとのドタバタな日々を綴ったこの連載。(連載をまとめた書籍『うちの子、へん? 発達障害・知的障害の子と生きる』が3月6日(金)に発売予定)。奮闘するママと、いつも元気なぽんちゃんの毎日とは――。 うちの子、へん? 発達障害・知的障害の子と生きる <前回までのあらすじ> ぽんちゃんはまだおしゃべりができません。発達障害、そして知的障害(表出性言語障害)があると診断を受けました。それでも保育園で毎日をニコニコ過ごし、いよいよ小学校にあたる特別支援学校に入ることに。

初めての書き初めイベントで大活躍

初めての書き初めイベントで大活躍

写真はイメージです(以下同)

 ぽんちゃんが通う特別支援学校には、様々なイベントがたくさんある。実際に財布を持たせて、近所のスーパーに欲しいものを買いに行ったり、愛の手帳を持ち、バスに乗ったりと、障害を持つ子どもたちが、将来一人でも買い物ができたり、移動ができたりと“自立”ができるように何度も繰り返して練習させてくれるのだ。障害児を持つ親にとって、これは本当にとてもありがたいこと。お買い物などに行っても、つい母親であるわたしがすべてをやってしまうことが続けば、ぽんちゃんがちゃんと覚えることはできないのだ。  そんなぽんちゃんが楽しみにしているイベントのひとつとして、“書き初め”がある。  新年が明け、3学期になると、毎年書き初め用の半紙に向かい、筆を走らす。が、ぽんちゃんは文字を読めなければ、書くこともできない。だからこそ、ここは心のゆくままに筆を走らせるのだ。それはそれはエモーショナルで、我々健常者が思っていることをぴゅんと飛び越えて筆を走らせるぽんちゃん、その勢いが認められ、なんと1年生の時は奨励賞を頂いてきた。  嬉しそうに奨励賞の表彰状をぐしゃぐしゃとまるめるぽんちゃん。(ま、丸めないで…)と戸惑いながら、その作品を見てみると、力強く筆が、こう、なんというか、ちょっとわからないけどすごい圧巻なのだ。これは私の芸術能力が足りないからだと理解しよう。

翌年もぽんちゃんの書き初めはすごかった!

翌年もぽんちゃんの書き初めはすごいかった! 続く2年生の時に書いた書き初めは、これも…なんというか、音符記号の♮(ナチュラル)のような、勢いで、いや、これは勢いなのか…? ちょっとわからないけど、とにかくなんだかすごい気がしてくる。  しかも、学校の先生たちは、本当に褒めることが上手なので、書き初めに先生がつけたタイトルも、「パッション!」となっていた。そうだ、これはすべてパッション! 人生、余計なことばかり考えるから大変になるんだということさえ伝わってくる…ことにしよう。  この2年生の書き初めは家の壁に貼ると、なんだかたいそうなものが我が家にあるような気がしてきた。絵もそうだが、得体のしれない抽象的なものほど、どこかミステリアスで、魅力がある気がしてくる。
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待望の2020年はどんな書き初めを?
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うちの子、へん? 発達障害・知的障害の子と生きる

20代前半での結婚後、長女長男に恵まれた著者。順調かと思えた矢先にまさかの離婚、2児を抱えながら頭金なしで家を買うなど奮闘するも、長男に発達障害があると発覚(のちに重度の知的障害と診断)。子どもたちを幸せにするため、全力でもがき続けるシングルマザーの葛藤と奮闘を描いた実体験エッセイ&マンガができました!

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