高良健吾にならストーキングされたい?『アンダー・ユア・ベッド』

『アンダー・ユア・ベッド』
陽より陰の似合う役者、高良健吾が、孤独な男の狂気を宿して、その稀有な存在感を見せつける『アンダー・ユア・ベッド』も振り切れた1本。
誰からも必要とされず、誰からも名前を呼ばれずに生きてきた三井直人(高良)は、大学時代に初めて自分の名を呼んでくれた千尋(西川可奈子)のことを思い出します。11年ぶりに彼女を探し出すが、そこに眩しい笑顔の面影はなく、疑問に思った三井は彼女の監視を始めることに。
千尋が夫と幼子と住む家の向かいに部屋を借り、カメラ越しに覗いていた三井は、あるきっかけから千尋の家の鍵を手に入れ、ついに彼女のベッドの下に身を隠します。
原作はホラー小説にも関わらず、ほのかに純文学的な香りが感じられるのは高良の存在感ゆえ。
変態描写としては、ベッドの下に潜むと決めた三井の覚悟のおむつ履きシーンが必見。枠としてはストーカーものながら、孤独な男の切なさが響きます。DV男と結婚した千尋の現状があまりに悲惨で、これでもかとヒドイ場面が続くため、途中で観るのをやめる人もいそうですが、ぜひともラストまで観てほしい作品です。

『HK/変態仮面』
イケメン変態映画としてのトリはやはり『
HK/変態仮面』と続編の『
HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス』。「週刊少年ジャンプ」に掲載された『究極!!変態仮面』を、鈴木亮平主演で福田雄一監督が映画化。女性のパンティを頭にかぶることで、人間としての能力を極限まで引き上げ、“変態仮面”に変身する主人公の色丞狂介(鈴木)が、愛しの愛子ちゃん(清水富美加)への想いに揺れながら悪と戦う物語です。
2作通じて、最初から最後まで変態のオンパレード。のちに大河主演俳優となる鈴木が、“デ・ニーロ、アプローチ”発揮の完璧な肉体で変態仮面を演じ切っています。悪役として両作にムロツヨシが参戦。さらに
1作目は真面目仮面に佐藤二朗、さわやか仮面に大東駿介、男気仮面(モーホー仮面)にアルコ&ピースの平子祐希、細マッチョ仮面にラバーガールの大水洋介と、さまざまな変態が登場します。2作目では柳楽優弥がヴィランとなって暴れる。1、2作に違うキャラクターで登場する安田顕の神々しいほどの変態ぶりにも注目です。
とにかく変態が大渋滞のなか、堂々と真ん中に立つ鈴木が、自信に満ち溢れた変態っぷりでニューヨーク摩天楼を(2より)、スパイダーマンよろしく駆ける!
ドン引き変態、スタイリッシュ変態、バカ変態と変態もさまざま。でもどの作品にもイケメンが出ているから大丈夫(?)。時には変態縛りの日も一興です。
<文/望月ふみ>
望月ふみ
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。
@mochi_fumi