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今井翼が語る、“旅の大切さ”。絶対に行くと決めている3つの場所は

 昨年開館200周年を迎え、世界最高峰と言われるスペインのプラド美術館の全貌に迫ったドキュメンタリー映画『プラド美術館 驚異のコレクション』が全国公開中です。
今井翼さん

今井翼さん

 15~17世紀にかけ“太陽の沈まぬ国”とも呼ばれたスペイン王国では、歴代の王族が圧倒的な経済力と美への情熱で美術品を収集していましたが、その真実に迫る内容です。  本国版ではアカデミー俳優のジェレミー・アイアンズがナビゲーターを担当していますが、日本語吹替版では、1年間の療養期間を経て今年2月に活動を再開した今井翼さんが担当しています。スペイン文化特使であり、初めてヨーロッパ美術に触れたのがプラド美術館だったという縁もあり、まさしく適任! 今井さんがスペイン美術の世界に観る者を誘います。 「アーティストとして感銘を受けることがすごくある」と語る今井さんは、本作をどういう視点で鑑賞したのか。話を聞きました(このインタビューは、2020年3月に都内で実施したものです)。

芸術品は“カンフル剤”になっている

――本作はプラド美術館の神髄に迫るような内容でしたが、もともと美術品に興味があるそうですね? 今井翼(以下、今井):僕もいち表現者として、そういうものを目にすることで、アーティストとして感銘を受けることがすごくあるので、まさしく出会い、ですよね。そこに行かないと出会えないものばかりなので、だから造詣があまり深くない僕でも、美術館って最高に面白いって思えるんですよね。 ――この映画で初めてプラド美術館を知る人も、圧倒されるでしょうね。 今井:そうですね。プラドには草原という意味があるだけに、すごく緑豊かな広大な土地にあるので、特別な重みを感じますよね。 ――日頃からクリエイティブな仕事をされていると、余計に感じることも多そうです。 今井:結局は自分の目でいろいろなものを見て、さまざまなテーマの存在を知識として身に着けることが出来ますよね。僕は特にダリが好きなのですが、人間は感性や感覚が一番大事だと思うから、芸術品を見るとすごく興奮するんですよね。物事を表現する立場にいる者として、ひとつのカンフル剤にもなっているような。すごく刺激されるんです。

ダリの魅力は「奇抜で枠にハマらないところ」

『プラド美術館 驚異のコレクション』場面写真

『プラド美術館 驚異のコレクション』場面写真

――ダリには、どこに惹かれたのですか? 今井:彼の奇抜な感じは枠にハマってなくて惹かれますね。バルセロナ郊外にある彼のミュージアムに行くと、地下にダリが眠っていて、もちろん他の芸術家たちとのつながりであったり、彼の人生観、ガラと過ごしてきた時間が感じられて、それが感覚的に好きなんですよね。作品でも左右非対称だったり、常にリンクする形が存在していたり。日本で言うと岡本太郎さんでしょうか。ミロのようなタッチも感じるのですが、奥が深くて面白いですね。  それと、ちょっと前にニューヨークで現代アートを見たのですが、歴史ある名作とはまた違って、自分に近い年代のアーティストが表現している。ニューヨークの銀行の前でドル札を自分の体に貼り付けて、首にロープを巻いて銀行の出入り口のところで何かやっているわけです。 ――ダリに比べると、ある意味わかりやすいんでしょうか 今井:結局のところ芸術って、観る人の感性によると思うんですよね。それが汚いと思うのか、きれいだと思うのか、人それぞれ。面白いですよね。 ――美術館が苦手な人は、美術館を楽しめる人をうらやましいと思っているかもしれないですよね。 今井:そういう友だちもいますね。でも、それを言うと僕ももとは横着な性格なので、集中力には限界があるんです(笑)。その時の気持ちが高揚していれば一気に見るし、今日はいまいちみたいな時はながら見で数点、面白そうなものを見て帰ったりします。  美術館は概念や変なイメージを持たずに行けるので、面白味が増していくんですよね。僕は知識よりも感性が大切だと思うから、そういう楽しみ方でいいと思っています。もちろん、この映画を通していくつもの大事なこと、作品の緻密な意味を知ることで自分の知識になっていくんですけどね。
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大切にする“旅する時間”
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