「蚊に刺されやすい人」には特徴があった。刺されなくなる方法をフマキラーの虫博士に聞いてみた
暖かくなって過ごしやすくなり、お出かけやキャンプ、BBQなどの計画を立てることも増えたのではないでしょうか。そんなときに気になるのが、蚊やアウトドア中に気をつけたい虫。
そこで殺虫剤でおなじみのフマキラー株式会社で開発本部基礎科学研究部部長・主席研究員を務める佐々木智基先生に詳しく話を聞きました。
新商品開発のため虫の飼育や研究をおこなう佐々木先生は、多くのメディアでも取り上げられる虫博士です。
【ゴキブリ対策記事】⇒ゴキブリが「じっと過ごして越冬している」家の中の場所とは?殺虫剤メーカー大手のプロに聞いた
【ダニ・カメムシ対策記事】⇒「布団を干すだけ」ではダメ。家の中のダニ対策の正しい手順をプロに聞いた
――暖かくなって嬉しいですが、この時期になると、蚊に刺されるのが嫌です。
佐々木先生:そうですね。だいたい気温が20~30℃あたりになると、蚊が活発になります。
日本では、蚊に刺されてもかゆくなるだけのことが多いですが、病原体を持った人の血を吸った蚊がほかの人を刺すことで病気が感染することもあるので注意してください。
厚生労働省によると、日本脳炎以外の蚊媒介感染症は海外からの輸入感染症としてみられていますが、デング熱は2014年に国内感染例が報告されています。
――それなら余計に刺されないよう気をつけたほうがいいですね。蚊に刺されやすい人とそうではない人がいますが、何か違いはありますか?
佐々木先生:蚊は触覚に生えた約2000本の産毛で温度を感知しています。体温が高いほど蚊が感知しやすくなるので、もともと体温が高い人は刺されやすいです。
たとえば、赤ちゃんや妊婦さん。あと、お酒を飲んだあとや運動後など体温が上がっているときも刺されやすくなります。
――ほかにも、刺されやすくなる条件があれば教えてください。
佐々木先生:人が吐く息に含まれる二酸化炭素や足の裏から出るニオイ、汗のニオイの原因となる乳酸や脂肪酸なども感知します。
また、光の波長で色を識別する蚊にとって判別しやすい黒っぽい色を好む傾向があるので注意してください。
そして蚊は、日当たりの悪い池や沼などの水辺に卵を産みつけるので、こういった場所へ行くと刺されやすいです。ほかにも、草がたくさん生えている場所や木陰、雨水がたまっている場所なども注意してください。こういった場所に近づかないというのもひとつの方法です。
――なるほど。では、黒っぽい服装は避けたほうがいいですね?
佐々木先生:はい。黒っぽい服は蚊が判別しやすいだけでなく、熱をよく吸収して温度が高くなるため寄ってきやすくなります。なので、白っぽい服や淡い色合いの服装がおすすめ。あと、肌を露出していると刺されてしまうので、長袖・長ズボンで出かけるといいですね。
ただ、肌にピッタリと密着している服装だと、服の上から刺されてしまうこともあります。肌に密着しない、ゆったりとした服装で出かけてみてください。
――汗は、ニオイも取れるようなボディーシートなどでこまめに拭き取れば大丈夫ですか?
佐々木先生:はい。そのほか、体温を下げるために冷却スプレーなどを使うという方法もありますが、虫よけを正しく使っていただくことも重要です。虫よけを塗ったところは、刺されなくなりますから。
――それは嬉しいです。
佐々木先生:ただ先ほどもお伝えしましたが、正しく使っていただくことがとても重要です。スプレー後には全体に塗り広げ、汗をかくと流れてしまうので、こまめに塗り直します。塗り直す前には、汗をキレイに拭き取ってください。
あと、日焼け止めといっしょに使う場合は、日焼け止めを塗ってから虫よけ商品を使うようにします。日焼け止めは、太陽から肌を守るようコーティングする働きがあるので、先に虫よけ商品を使うと、虫よけ成分もいっしょに閉じ込められて効果を発揮できなくなってしまうからです。