廃墟ホテルに人の気配。肝試しで行ったハズなのに…
東京などの大都市とは違い、地方は夜遊びできる場所が限られています。なので、友人や恋人と深夜にドライブを楽しむ人たちも少なくないようです。
「高校を卒業して最初の夏休み、私は大学進学で上京していたのですが夏休み期間中は帰省していました。
それで遠距離恋愛中だった彼氏と友達カップルの4人で、地元では有名な心霊スポットに肝試しに行くことになったんです」
そう話す藤崎芳美さん(仮名・33歳/保険会社)ら一行が向かったのは、郊外の道路沿いにあるホテルの廃墟。郊外の県道から脇道に入った奥にあり、周囲に民家もまったくない山の中でした。
「弟が学校の友達と肝試しに行ったことがあって、廃墟の話は弟からも聞いていました。怪談や心霊とかが苦手ということはなかったですけど、特に興味もありませんでした(笑)。
このときは彼氏が『行こう!』っていうから一緒に来たけど、心霊スポットなんて呼ばれている場所へ真夜中に来たのは人生で初めて。だから、当然怖いんですが同時にワクワク感もあって、不思議なテンションだったのを覚えています」
建物はコンクリート製で外壁にはスプレーの落書き。窓ガラスもほとんどが割られており、内部はかなり荒れていたとか。さすがに気味悪さを感じたそうですが、それでも想像していたほどの恐怖感はなかったそうです。
「これが旅館の廃墟なら建物も和風で違ったと思うんですが、ちょっと無機質な空間でイメージしてたのとは違うなぁって。ゲームのバイオハザードに出てくる廃墟っぽくて、今にもゾンビが襲ってきそうな雰囲気はありましたけどね」
4人が建物内をくまなく探索したところ、客室エリアは入口付近ほど荒れておらず、保存状態のよい部屋もあったとのこと。そんな中、ある部屋の様子にものすごく違和感を覚えたといいます。
「薄汚れた部屋の隅に布団が敷かれていて、その周囲にはスープが入ったままのカップ麺、ペットボトルやお弁当の容器がありました。
彼氏が『ひょっとして誰か住み着いているんじゃ…』と言い出し、近くに落ちていた新聞に懐中電灯のライトを当てると私たちが訪れる数週間前の日付。そこは少なくとも20年以上前から廃墟になっていたので明らかに計算が合いません。今も住み着いている人がどこかに潜んでいるのでは……と思ったら急に怖くなりました」
すると、彼氏は「車に戻ろう」と言い、廃墟ホテルを出ることに。ただし、先ほどまでとは打って変わって、彼氏は建物を出るまでほとんど口を開きませんでした。

心霊スポット初体験でワクワクしていたけど…
廃墟のハズだったが最近人がいる痕跡

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