
居ても経ってもいられなくなった寛子さんは苦しんでいる彼を近くで支えたいと思い、週末に勇樹さんの家に行くことにしました。
「これまで彼のアパートへ行ったことはなかったけれど、住所は教えてもらっていました。彼からは顔を見られたくないから来ないでと言われたけど、何かしたいと思って。罪滅ぼしをしたいという気持ちも、どこかにありました」
たとえ、どんな顔になっていたとしても彼を思う気持ちは変わらない。そう思い、インターホンを鳴らすと、出てきたのは彼ではなく、なんと見知らぬ女性。絶句したのは、相手の女性も同じです。沈黙を破ったのは、部屋から出てきた勇樹さんの「うわっ」という一言。その顔には麻痺などありませんでした。
「彼は心配してほしくて、嘘をついたと言っていました。部屋に連れ込んでいたのは1か月前に出会い系アプリで知り合った女性。私に、グチを控えてと言われてから出会い系アプリで他の女性と連絡を取ってたみたいです」
浮気がバレた勇樹さんは「辛いときに支えてくれないなら、他の人に目が向くのは当然」と開きなおり、「来るなって言ったのに約束も守れないんだね」と、激怒。幻滅した寛子さんは、その場で別れを告げました。
ですが、それから1か月ほど経つと、勇樹さんから何十回も電話がかかってくるように。
「留守電に、もう一度やり直したいという言葉が残されていることもあれば、お前なんて幸せになれないからなという罵声が残されていたこともありました。怖かったですが、今では電話もかかってこなくなり、つい最近、新しい彼もできました」
寛子さんは傷を癒しながら、新しい道を歩んでいるよう。
いくら恋人でも、「グチを聞いてくれるのが当たり前」「支えてくれるのが当たり前」というのは甘えでしかない。男女問わず、心しておきたい教訓です。
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恋愛・結婚“私の失敗”―
<取材・文/古川諭香>
古川諭香
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:
@yunc24291