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3月終了の「メレンゲ」「噂の!東京マガジン」長寿番組にいま思うこと

「老害」などきつい言葉も。長寿番組が苦しむ、時代の波

 ただ、「噂の!東京マガジン」内のコーナー「やって!TRY(トーライ)」が料理する女性を小馬鹿にするのはいかがなものかと問題視されたことがあるように、長寿番組は時がたつにつれ時代の空気感と番組内容が合わなくなることは避けられません。なかでも番組の顔となる司会者やレギュラー出演者の高齢化は、世論とズレが生じてくるという点でも大きい問題となることでしょう。 【参考記事】⇒2019年2月20日掲載「『女の料理ベタを笑う番組』と批判されたTBS、男にも『やってTRY!』させた評判は?」
(画像:「とくダネ!」フジテレビ公式サイトより)

(画像:「とくダネ!」フジテレビ公式サイトより)

 朝のワイドショー「とくダネ!」(フジテレビ系)司会の小倉智昭さんもその動きを肌で感じていたのか、1月13日の放送で同番組の終了について言及した際「病気してから、ネット情報とか見るようになっちゃったんですね。そうするとやっぱりね、老害じゃないか、とかね。ボケてんじゃないかとか、そういう言葉きついもんなんですよ。で、お年寄りの政治家見ると、ああ、やっぱり年取るとダメかな、なんて少しずつ思うようになりました」とその決断の胸の内をしみじみと語っていました。  昨今ではSNSで視聴者が自由に意見を言える機会も増え、それに伴い出演者や制作者もそれらを直接目にする機会が多くなりました。それだけ時代の波の影響をテレビが受けやすくなっているのです。  ただ、最近の「とくダネ!」に関していえば、そんな小倉さんのコメントに物おじせずに持論を語る古市憲寿さんやカズレーザーさんの存在が爽快で、その対立構造が面白かったという意見もあります。小倉さん個人としてはそういう扱われ方は望まないのかもしれませんが……。

何も考えずのんびり見られる“日常に溶け込んだ”番組の必要性

 3月期に終了する多くに共通しているのが、「熱狂的なファンは少ないが、やっていたら何気なく見てしまう」番組であるということ。特に予定のない夜や、手持ち無沙汰な日中に放映されていたら、家事や食事のついでにチャンネルを合わせてしまう引力がありました。
(画像:「火曜サプライズ」日本テレビ公式サイトより)

(画像:「火曜サプライズ」日本テレビ公式サイトより)

 まんべんない多くの人々に薄く届いているがゆえに、視聴者の意見や時代には敏感にならざるを得ず、それでいてこのコロナ禍の広告収入の減少……。いずれも視聴率は合格点であると言われているにも関わらず、大ナタを振らざるをえないのはうなずけます。  しかし、Youtubeやネット配信番組でいつでも好きな番組やコンテンツが見られるようになった今、テレビの中には、「何も考えないで見られる番組」も必要だという声も。確かにネットや配信のコンテンツはテレビよりも面白いモノや見ごたえのある番組が多いですが、その時間を作品に全集中させなければならなかったり、楽しまなければいけない義務感も生じてしまうため、視聴にエネルギーを使ってしまいます
(画像:TBS「爆報!THEフライデー」公式サイトより)

(画像:TBS「爆報!THEフライデー」公式サイトより)

 かつて筆者が多くの一般企業や工場や倉庫などに取材をした際、その休憩室のお昼休みのテレビは、同時間帯の社会ニュースを主に扱う番組やドラマより「ヒルナンデス!」(日本テレビ系)が必ずと言っていいほど流れていたことを思い出しました。(※「ヒルナンデス!」は4月以降も放送)  映像コンテンツは、好きな時間に見たいものを意識的に選んで見る時代になりつつあります。だからこそ、幅広く全世代に届くテレビという媒体は、これらの終わりを迎えるいくつかの番組のように、日常に溶け込んだリラックスして見ることができる番組を少しでも多く提供し、末永く残していくことも一つの役割なのではないでしょうか。 <文/小政りょう>
小政りょう
映画・テレビの制作会社等に出入りもするライター。趣味は陸上競技観戦
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