思春期の少年が眩しすぎる…フェチ写真集『スクールボーイ・コンプレックス』【後編】
青山さんの感じた少年たちへの劣等感(コンプレックス)が生んだ『スクールボーイ・コンプレックス』。青山さんお気に入りの写真を教えていただきました!
※前半はこちら⇒http://joshi-spa.jp/106486
■梅沢
「これは、光と影を意識した写真。喉仏からは男子の成長期も感じますよね。表紙の写真に対してですが、骨格がまだそれほどがっちりしていなくとも、腕には少し濃い毛が生えている『少年と大人のちょうど間の背中』と言われたことがあります。この喉仏も、まだ少年らしさを残していますよね」(青山氏・以下同)
■梅沢兄弟
「彼らは本当の兄弟なんですが、すごく仲がよかったんですよね。彼らには『休憩だよ』と伝えて彼らの緊張をOFFにしたので、本当に自然な表情を撮ることができました」
■太陽
「耳ですね。いろいろ好きなパーツはあるんですが、男女関係なく耳がとくに好きなんです。軟骨の硬さと耳たぶの柔らかさ、そして形が神秘的ですよね。耳の写真集を出すにはちょっとニッチすぎると思って、こういうときにところどころ耳の写真を忍ばせているんです(笑)」
■松井と岡安
「これは、室内でただ遊んでるだけなんですけど、これは連写を使わずに瞬間を切り取っていたので、その分カメラマンとしての手腕が問われる写真だと思います。撮るうえではまったく意識してなかったのですが、BLっぽいと言われる写真はいくつかあります。2人の男の子が仲睦まじいというのはBLっぽくも見える一方で、単純に仲良しの男子たちにも見える。それはもう、読者の皆さんの受け取り方に委ねています」
■市川 稜
「これは、動きではなく写真の構図的な面から“少年の美”を撮ったものです。彼のまっすぐに伸びた脚がちょうど画面を二分割するように意識して配置して、脚はピンと並んでいるけど、奥の腕はランダムになっているという“緊張と緩和”を表現しました。一枚の写真としてすごく好みです」
■麦と芽
「すごくグッと来るアンニュイな表情ですよね。この本に出てくれた子どもたちの親御さんに、『なんでこんな風に撮れるんですか!?』と聞かれたんですが、それは僕が彼らを子ども扱いせずに、むしろ彼らをうらやましがるスタンスで撮ったからだと思います。僕の写真は、親御さんが撮るような家族写真になってはいけない、という気持ちはありましたね。だからこそ、実の家族の方にそう言ってもらえたことはとても嬉しいです」
様々な少年たちのきらめきを写しだしてきた青山さんにとって、この『スクールボーイ・コンプレックス』は特別な作品になったそう。
「『ガール』を静とすると、動的な被写体をとらえることも挑戦だったし、この『スクールボーイ・コンプレックス』は、小学生から高校生までの約10年間の“スクール”を集約した本です。彼らの10年間は、体型や学校での立場など劇的な変化がある時代ですよね。そんな男子学生の一瞬のきらめきを詰め込みました。とても気に入っています」
そんな、男子学生の時代と瞬間を詰め込んだこの本を、ぜひ女性に読んで欲しい、と青山さん。
「僕が少年たちに抱いたコンプレックスは、女性の方に共感してもらえるものではないと思います。なので、むしろ女性たちがそれぞれ思春期に男子に対して抱いていたコンプレックスを投影してもらいたいと思っています。それがBL萌えに繋がるのか、男子の身体のパーツに惹かれるのかは、僕にはわかりませんが、男女ともに響く作品になったとしたら、最高ですね」
青山さんが写しだした少年たちのきらめきが、女性読者にどう写るのかも興味深い……!
●写真家・青山裕企オフィシャルHP http://yukiao.jp/
●青山裕企写真集『スクールボーイ・コンプレックス』(グラフィック社)出版記念&サイン会(6月29日)詳細 http://pundit.jp/
●青山裕企写真展『僕の妹は、写真家になりたい』『スクールボーイ・コンプレックス』同時開催(7月2日~7月19日)
詳細 http://www.athens.co.jp/gallery/event/1407_aoyamayuuki/index.html
<TEXT/大貫未来(清談社) PHOTO/写真提供・青山裕企>
大貫未来(清談社)
ライター(25)。女性向けウェブサイト、男性誌などで執筆。『女子SPA!』では、マンガやアニメな内容の記事を書きがち。写真は尊敬する夏目漱石先生を意識しました。
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『スクールボーイ・コンプレックス』 小学生から高校生まで、12人の男子たちの皮膚を突き抜けた「少年のなかにある美しさ」を収録。 ![]() |