──規制の多い生活の中で、心がけていることを教えてください。

家事は無心になれる
「心がけているのは、つねに穏やかな気持ちでいること。なかなか難しい時もあるのですが……。
たとえば、フランス人との温度差を感じる時。この間、たまたま仕事で何人かの日本人の方にお会いしました。本当にしばらくぶりのこと。お話ししていると、やはりみなさん、とても日本人らしいというのか、自分や家族のためにも、まず自分が感染しないようにとても気をつけている。そして、規制を守っている。
でも、フランス人の知り合いの中には、この時期、大規模なパーティを企画したりする人もいて、そのお誘いなどがくると、『えぇっ!!』と思って、日本人の考え方とフランス人の考え方の違いに愕然とすると、おっしゃっていました。私もまったく同じような経験をしていて、そんな時は穏やかでいるのがなかなか難しい……(笑)」
<家事のいいところは、ほかのことを考えずに無心になって没頭できること。おうち時間に、家の中も気持ちもすっきりさせているそうです>
──中村さんはパリと東京を行き来できなくなって、自宅で執筆する時間が増えたのではないでしょうか。これまで語ったことがなかった「老い」や「老後」についても書籍で触れているそうですが……。
「はい。50代になってこれは、避けては通れない人生のテーマだなと感じたので。ただ、老いなどについては子どもたちの年齢が小さいこともあって、まだまだ先のような気もしていますし、いま、すぐにこれといった問題や実感があるわけではないので……。もう少し現実的になった時には、今回書いたこととは、また別の感情になっているかもしれません。でも、通過点として、いまの思いを形にすることはよかったかなと思っています。
一人静かに原稿を書くのは、改めて自分自身の心の中、頭の中を整理する作業。普段、なんとなく頭の中で考えていること、心の中で思うことを伝えるための『言葉』にするのは簡単ではなく、いまだにまとまっていないゆるゆるとしたものもありますが、自分自身と向き合う大切な時間でした」
===========================
中村さんが毎日大事にしていること、50代という年齢になったからこそ考え始めたこと……etc. コロナ禍で命の危険にさらされ、多くの人が「自分にとって本当に大事なこと」を見つめなおしているように思えます。
<文/女子SPA!編集部>