濵田真里さんに、2021年のジェンダー関連の注目語を10コ選んでもらった。

森喜朗の女性蔑視発言に対して、有志グループは署名を集めて東京五輪組織委員会に届けた
(1) フェミサイド
「性別を理由に女性が標的とされる殺人のこと。8月に起きた小田急線刺傷事件をもとに一気に広まり、今年認知度が高まった言葉でした」
(2) #わきまえない女
「女性がたくさんいる会議は進まない、組織委員会にいる女性はわきまえている」という森喜朗氏の発言に反発したSNS上での運動
(3) 票ハラ
「6月に候補者男女均等法の改正法が成立したことで、有権者から議員に対するセクハラ、マタハラなどのハラスメントに注目が集まりました」
(4) オンラインハラスメント
中傷やつきまといなどインターネット上での攻撃のこと。「プロバイダ責任制限法改正により今年はメディアでも多く取り上げられました」
(5) オリンピッグ
佐々木宏が五輪演出統括を辞任する原因となった発言「渡辺直美をブタ=オリンピッグに」。日本と海外の意識の差が浮き彫りになった
(6) みんなの未来を選ぶためのチェックリスト
「衆院選を前に市民有志が立ち上げたアクション。ジェンダー平等に関する質問もあり、有権者があらゆる視点から政党を選びやすくした」
(7) #トランス差別に反対します
自民党・山谷えり子の実態を無視した無理解なLGBT差別発言がトランスジェンダー差別論者を煽り、それに対抗する声がSNS上で噴出
(8) LGBT法案
野党の賛同を得て、稲田朋美が牽引するも、自民党内の意見がまとまらず、国会への提出が見送られた。「多くの当事者を失望させました」
(9) ヤシノミ作戦
選択的夫婦別姓や同性婚に反対する政治家を、ヤシノミを落とすように落選させる活動。「国民審査の結果がニュースになったのは大きい」
(10) 報道ステーションのCM「ジェンダー平等は時代遅れ」
「”ジェンダー平等は達成されている”という間違った認識に立った内容で炎上。発信する側のジェンダーバランスに偏りを感じました」
番外編:トーンポリシング
「発言の内容ではなく『感情的だからダメ』など話し方を指摘して問題をすり替えること。Clubhouseの流行によって可視化されました」
【選者・濵田真里氏】
ジェンダー総合研究所共同代表。’21年、女性による女性議員の選挙サポートを行う団体Stand by Womenを設立。研究テーマは「女性議員に対するハラスメント」
<取材・文/週刊SPA!編集部 写真/時事通信社>