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流産を経験した女性が語る「“自分の体内で命が消える”ことへの向き合い方」

亡くした赤ちゃんと本音で<向き合う>

泣く カウンセリングで聞いた追悼方法のアイディアをどう利用しようか考えていると、あることを思いつきました。娘も夫も寝た後に、子供部屋に行って亡くした赤ちゃんに話しかけよう。亡くした子の魂を感じたいから、などの幽霊現象を期待していたからではありません。ただ、頭の中で回る思いを声に出して、言葉にしたかったからです。  私は子供部屋に行き、椅子に腰かけ、「あのね」と子供に話しかける口調で産めなくて悪かったこと、生まれていたら素敵なお姉ちゃんがいたこと、そのお姉ちゃんは兄弟がほしくて小さい子の面倒見が良いこと、候補にあった名前、などいろいろさらけ出しました。このような10分ほどのモノローグを日を空けて3回行いました。  その後はもう全て吐き出したような感覚を覚え、繰り返すことはありませんでした。この行為で助産師にも言われた死を悲しむ重要性を具現化したのだと思っています。やっと自宅でも大量の涙を流すことができました。

夫と泣いて、夫と考えるこれからの家族計画

 亡くした子を悼むのは私だけでなく、夫も同じでした。彼は、私同様、仲の良い友人・知人にオープンに話し、元気でない様子を隠さず表に出しました。ドイツでは胎児の遺体は合葬されることが多いのですが、私達は病院で知らされた墓地に連絡を取り、墓石の位置を教わり、お墓参りに出かけました。  これも手術の約1か月後のことです。到着後、二人とも泣きました。夫はサングラスをかけたまま、しくしくと。私は墓石の近くにあった大きな木にしがみつきながら。最後は抱き合いながら泣きました。一人だけでなく、夫婦で哀惜(あいせき)することも娘のいる日常では難しかったので、貴重な体験でした。  お墓参り以外の時も私達は「最近、どんな気分?」としばらくはお互いの心境を聞き合っていました。これからの家族計画についても探り合いました。二人とも再挑戦を希望していたのですが、私の方がなるべく早く三度目の妊娠を望んでいました。夫は時に囚われることなくストレスフリーに。後者の考えの方が焦りもなく、心身にとっては楽です。  私は半年経った最近、このような落ち着きをやっと持てるようになりました。特別なきっかけがあったわけではありません。一つ、役に立った情報といえば同じ経験者の話を読んだり聞いたりしている内に、健康面では次の妊娠は可能でも、みんな時間がかかるのだと悟ったからです。
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4歳の長女に告白 未知の兄弟に関心を持つ
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