新しい空気をまとった“まるい食べ物”はいつの時代も愛される

おもて面
パンケーキ、マリトッツォ、フルーツ大福、台湾カステラ、フルーツ大福、ドーナツ、地球グミ……。
これまで数々のトレンドスイーツの条件を振り返ってみると、海外の食文化や国内の伝統菓子を再解釈した“新しさ”は欠かせない要素であることがわかります。
それに加えて、圧倒的に多いカタチが、“まるいこと”。まるは心理的な安心感をもたらす効果があると言われていて、食品の場合食べやすいというメリットも加わります。
また、景気が悪い時代にはワンコイン(500円)で食べられる手軽さは歓迎されますから、今回の10円パンはヒットの条件にピッタリ合致します。

うら面
このビッグな10円玉を棒にさして食べている光景は、懐かしい感じもあってほっこり癒されますよね。
味としては王道の今川焼風。中にとろけるチーズがたっぷり入っていて、甘くないチーズにちょっぴり甘さを感じる生地がよく合います。カスタードクリームやチーズケーキのような甘味はないので、食事感覚で堪能可能。
行列には男性も多く並んでいましたが、この甘くないチーズクリームだから好まれるのかもしれません。

自宅で温め直したら、チーズがあふれ出すほどたっぷりで幸せになりました
すぐに食べない場合は、テイクアウト仕様にしてもらうことが可能です。
例えば自宅のトーストもしくはレンジで温め直すとチーズのとろける感じがよみがえります。中身のチーズがたっぷりなので、とろけ方も豪快でした。
このように韓国の屋台フードが500円で食べられるとしたら、決して高い金額でもないと思えてきますが、10円パンを食べ終わった後、日本の今川焼やクラシカルなたい焼きも恋しくなりました。
そうです、両者は別モノであり、それぞれの魅力があるなと再実感できたのです。トレンドフードというくくりでみれば、韓国スイーツの勢いはまだまだ続きそうです。さあ注目されている今だからこそ、遊び心を持って味わってみてはいかがでしょうか?
<文・撮影/食文化研究家 スギアカツキ>