サツマカワRPGのツカミ&Yes!アキトの設定が見事
――優勝者以外に印象に残ったネタはありますでしょうか。
<サツマカワRPGさんのツカミの「敗北を知る和田アキ子さん」には、完全に心を掴(つか)まれました。
本編の「ご注文は…」「ラーメン」からネタが始まった場合、ツカミが遅くなってしまいますし、ネタ単体としても、「敗北を~」の方が強いと思います。また、「ご注文は…」のネタのウケがイマイチだった場合、取り返すのが非常に難しくなります。本編の構成が高く評価されていますが、ツカミで自分の空気を作ったところが素晴らしかったです。
本編は、四コマ漫画を見ているような気分にさせられていると思いきや、終わってみれば1本の映画を見たような気分になる、不思議なネタでした。最後の回収が気持ちよく決まった爽快感がありました。>
――たしかに点数に比べて評価が高く、それには自分の空気を作ったことも大きく作用していそうです。
<Yes!アキトさんは、自身のギャグをうまくコントに取り入れてました。
ギャガーは若手のうちはみなさん苦労しています。通常のライブでは、他の漫才師やコント師と同じ持ち時間を与えられます。そこでギャガーは、今回のアキトさんのようにコント形式でギャグをやってみたり、持ちギャグをクイズ形式にしてみたり…、ということをするのですが、せっかくのギャグの魅力が損なわれてしまうケースも多々あります。
(そもそも、ギャガーは漫才師と持ち時間が同じじゃなくても、と思うところはあります。漫画雑誌でも、四コマ漫画はページ数が少ないですし)
そんななか、「プロポーズで緊張して言葉がうまく出ない」という設定は、お見事でした。「緊張しているからわけのわからないことを言っても仕方がない」「うまく言えていないので連発できる」『け、け、け…』と、ギャグの最初の一文字が前フリになる」などなど、いいことずくめの設定でした。>
――M-1グランプリのネタでウエストランド井口に「夢がない」と言われたR-1グランプリですが、今後どうなっていくでしょうか?
<500万円もらえるだけで十分、夢、あります!
ネタの内容については、審査員のコメントの内容や決勝進出者の傾向から考えると、大喜利的なひとことネタと、紙のフリップを使うネタは少なくなっていくのではないでしょうか?
実際、今年の準決勝では、去年の審査員のコメントからか、ストレートにギャグの羅列をした人はいませんでした。
今後は、今回の田津原さんのように、今まで見たことない演出のものが増えるかもしれません。
自分だけのオリジナルのジャンルで来る芸人に、勝機が生まれると思います!>
――これからの展望や期待することがありましたらお願いします。
<2021年に出場資格が芸歴10年以内と発表されたときには、「若手だけで大丈夫か?」と不安の声も聞こえてきましたが、3年経った現在、どんどんレベルが上ってきており、まったく問題なく感じています。
まだ誰にも知られていない若い芸人さんが出てくるのが、非常に楽しみです!
「ラストイヤー制度、撤廃(てっぱい)してくれー!」と断末魔を上げて散っていったサツマカワさんには申し訳ないですが(笑)。>
<文/女子SPA!編集部>