横浜流星は単なるイケメン俳優じゃない。助演ぶりが評価される“傷だらけの映画人生”とは
横浜流星が、第46回日本アカデミー賞で優秀助演男優賞を受賞した。広瀬すずと松坂桃李主演『流浪の月』(2022年)での会心の助演が評価されたのだ。
毎週木曜日深夜に放送されている『インフォーマ』(関西テレビ系)でも見事な助演ぶりを見せてくれた。第6話での思いもしなかった横浜の登場は、サプライズ的なゲスト出演回でもあった。
「イケメンと映画」をこよなく愛する筆者・加賀谷健が、最近助演を好んで演じる横浜流星の“傷だらけの映画人生”を解説する。
今、この先の俳優人生がもっとも楽しみな若手は?と問われると、やはり横浜流星ではないかと思う。『仮面ライダーフォーゼ』(テレビ朝日系、2012年)でのデビュー以来、数々の話題作(それも多くの快作)に主演、出演を続け、2022年だけでも4本の映画、3本のテレビドラマに出演(うち主演は2作品)した。
デビューから10年以上の歳月が流れ、その間、横浜は「単なるイケメン俳優とは呼ばせないぞ」と言わんばかりの実力と凄みをぐんぐん伸ばし、俳優道をひた走ってきた。俳優・横浜流星を常にそばで見守り、強力な後押しとなってきたのが、『青の帰り道』(2018年)の藤井道人監督だった。藤井監督は、2019年に放送された『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)のピンク髪“ユリユリ”役の大ブレイクを温めた立役者だと言える。
横浜が俳優として次のフェーズへ脱皮を図ろうとすると、ここぞというタイミングで藤井監督が援護する。横浜と藤井監督が組むバディ感は、『ギャング・オブ・ニューヨーク』(2002年)でタッグを組んでから傑作を共に作り続けているレオナルド・ディカプリオとマーティン・スコセッシ監督との関係性を思わせるくらい強い結びつきだ。
藤井監督の青味がかった冷たい画面の色調は、横浜の肌の色合いにすごくよく合う。これを背景色として、横浜は画面に溶け込みながら、彼の真骨頂を毎回画面上に鮮やかに浮かび上がらせる。
Netflixオリジナルシリーズとして製作された『新聞記者』(2022年)では、薄暗い早朝から新聞を配る配達員を演じた。空中撮影によって捉えられた早朝の寒々しさが横浜の身体を通じて伝わってくるような、そんな生々しさがあった。配達手段となるバイクは、『青の帰り道』で青春を象徴していた自転車のゆるやかなバージョンアップでもある。横浜の成長に合わせながらその都度カスタマイズするかのような藤井監督の演出に対して、横浜も厚い信頼を寄せている。
横浜と藤井監督は、映画やドラマだけでなく、他の映像作品でもしょっちゅう現場をともにする間柄。藤井監督の演出作品なら、横浜は、主演以外の作品に喜んで出演する。最近では、助演に対する積極的な姿が目を引く印象さえ受ける。