2022年の助演作品で言えば、『流浪の月』は圧倒的な熱演ぶりだったが、いわゆる友情(ゲスト)出演でも横浜は、気合い十分に演じ込む。
特に2023年は、さりげない雰囲気で、桐谷健太主演の『インフォーマ』にさらりとゲスト出演している。第6話、冒頭場面から得意の回し蹴りを披露する破壊力といったら。
インフォーマ(情報屋)である木原慶次郎(桐谷健太)の前の運転手だった河村愛之介役を演じた。横浜が颯爽と登場したことで同作の話題性は一気に高まる。このたくましくも、はかない悲劇的なキャラクター性は、さりげないゲスト出演の域を軽々と越える強烈さで、どれだけ多くの視聴者が胸を熱くさせたことだろう。

『インフォーマ』(関西テレビ放送)公式サイトより
『インフォーマ』では、作品のトーンとして藤井監督の青の色味より暖色が強かった。それは夜の街の色を演出していた。横浜の瞳が漆黒に輝き、ふっくらとした唇が浮かび、ヴィヴィッドな色調がその後の悲劇性を強調するようでぞくぞくした。
横浜が演じる与太者の愛之介は、ポンコツと呼ばれながらも木原のことを深く慕っている。木原に呼ばれたらどこへでも駆けつけ、ひと仕事前には強い酒で乾杯する。実の兄である恭介(淵上泰史)が運転する車の助手席で酔っ払ってすやすや眠る愛之介の髪を風がなびかせ、嵐の前の静けさを感じさせる。
大企業の会長を成敗しに意気込んだ愛之介だったが、強大な敵の前にまったく歯が立たない。テーブルに投げつけられ、はだける黒のタンクトップが、『青の帰り道』で身に着けていたタンクトップの白よりも事態の深刻さを伝える。藤井監督作によって確実な変奏が試みられながら、横浜会心の演技が引き出される。タコ殴りにされ、試合後のボクサーみたいに腫れ上がった顔の横浜を見て、ただただ唖然とするゲスト出演回の結末だった。