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田中圭、サイテーな不倫男を演じても憎めない理由。ドラマ『A2Z』にみる“ちょうどよさ”

“ちょうどいい田中圭”が楽しめる作品

 もちろん、はるたんに代表される天下の田中圭スマイルも大好きである。でも田中の真骨頂は、春田創一役にばかりあるわけではないと強調しておきたい。ジョン・ウー監督作品『マンハント』(2018年)で田中が演じた研究者の苦悶の表情を思い出してもいい。同作には回想場面の中で極限まで感情を抑え込んだあまりに繊細な田中圭がいた。  田中はどうも回想場面の中で見事なオフの演技をする俳優なのかもしれない。『A2Z』では、はるたん的なグズな感じや茶目っ気を滲ませながらも、ときおり真面目な表情に切り替わる。第3話で、編集者夫婦同士、新人作家を取り合うように夏美と一浩が鉢合わせになる場面で、ほくそ笑む一浩の表情には、田中の大胆さと冷静さを同時に感じた。  オンからオフへ、オフからオンへ。緩やかな調整のきいた、“ちょうどいい田中圭”の演技が楽しめる作品である。 <文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト / アジア映画配給・宣伝プロデューサー / クラシック音楽監修「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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