清居が「は?」って言うだけでうずうずする…BL映画『美しい彼』の“最大の不思議”とは
『美しい彼』は、2021年にMBSの「ドラマイズム」枠で放送されるや、たちまち話題のBLドラマ作品となった。『美しい彼 シーズン2』(2023年、以下、『シーズン2』)の放送や全6話のドラマを再編集した『美しい彼 special edit version』(2023年)が1週間限定で特別上映されるなど、その勢いはうなぎのぼりだ。
そして待望の映画化も果たし、『劇場版 美しい彼~eternal~』(以下、『美しい彼~eternal~』)が、2023年4月7日(金)より全国公開されている。BLドラマの歴史を塗り替えたことは間違いないが、なぜここまで“美しい”作品なのか。
「イケメンと映画」をこよなく愛する筆者・加賀谷健が、美の化身のような八木勇征に注目しながら、本作特有のBL的な関係性を考える。
これは、おそらくBLドラマ史上もっとも抽象的なタイトルではないだろうか。
原作者の凪良ゆうが、『美しい彼』に込めた文字通りの美しさは、BLファンでなくても夢見心地の耳ざわりを感じる。タイトルが指す張本人である清居奏(八木勇征)が、「は?」とか「キモ」と発するだけでうずうずする。今やLDHの中核を担う「FANTASTICS from EXILE TRIBE」のヴォーカルを担当する八木の美声を耳にすれば、なおさらのこと、身体が火照(ほて)ってくる。
八木は、タイトル通りの美しさを体現している。「美」は、抽象的(観念的)なイメージだが、八木が清居奏を演じることによって具体的なカタチとなる。清居の恐るべきキャラ立ちを見ていると、八木によって美の化身として命が吹き込まれ、もはや清居が八木勇征役を演じているような錯覚すら起こす。
現実の八木に対して美を感じるように、ドラマ内では、もうひとりの主人公・平良一成(萩原利久)が清居をギリシアの神々にたとえながら崇めている。高校生のとき、直感的に清居に魅了されて以来、平良が人生を捧げて信仰を続ける一方的な片思いが、シーズン1から2にかけて描かれた。ドラマから『美しい彼~eternal~』へ清居の美しさは、過激さを増す。
映画冒頭、いきなり超ド級の美的映像からはじまる。裸で寝床をともにする平良と清居が映る。ひとり目を開けた平良のモノローグによって、ドラマ版から続く清居への信仰心が語られる。カメラがすぐに清居の寝顔を捉える。あの色っぽいベイビーフェイスな八木君の顔を見て、思わずハッとする。がっちりしている肉体とのギャップに萌えてしまうのをどうか許してほしい(平良のように平謝り)。
この場面では、清居の美しさが、ヴェールを脱ぐように丁寧に描かれる。さらに平良と清居がはじめて同じ湯船につかる場面では、その美しさが限界突破する。清居への強い欲望をむき出しにする平良が、後ろから清居の顔をつかんで撫で回す。風呂場で身悶えする清居の表情は、もはや犯罪的な美しさだ。
八木勇征が演じることで具体的なカタチに

美しさが限界突破する
