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坂口健太郎による“衝撃映像”の数々…異色の主演作に胸のザワザワが止まらない

 こんなに胸がザワザワする日本映画を久しぶりに見た気がする。2023年4月14日(金)から公開中の映画『サイド バイ サイド 隣にいる人』は、これといって何か特別な事件が起こるドラマではない。にもかかわらず、本作は、主演の坂口健太郎による“衝撃映像”の連続だった。  坂口の顔、表情、歩き方、手元。どれもこれも美しいとしか言いようがない。恋人役の市川実日子、元恋人役の齋藤飛鳥の表情もふるえるほど素晴らしい。 「イケメンと映画」をこよなく愛する筆者・加賀谷健が、坂口健太郎が静かに伝える不思議な美しさを解説する。

初っ端からただならぬ雰囲気を漂わせてしまう

©2023『サイド バイ サイド』製作委員

©2023『サイド バイ サイド』製作委員

 いきなり坂口健太郎の横顔。バスの車窓は、風景が激しく移ろう。彼の顔は背景から浮き出る。浮き出た横顔をじっくり眺める。ややくせっ毛のもみ上げから目線を上にすべらせる。  パーマがあてられたマッシュヘアは、坂口、ただひとりのためにだけスタイリングされるべき髪型のように思える。横顔とヘアスタイルだけでただならぬ雰囲気を漂わせてしまう坂口健太郎。これは、ヤバいぞ。  そのあと、車内では、横顔から正面、後ろ姿が順番に映る。前を向く真顔や揺れる肩など、さまざまなアングルから坂口を眺め回しているうち、バスは到着する。何ともとらえどころのない表情で停車場からすたすた歩く足取りもたまらなくいい。

昼の横顔と夜の横顔

©2023『サイド バイ サイド』製作委員 夜の縁側で寝そべる場面でも横顔が映る。昼の横顔と夜の横顔。どちらも素晴らしい。近寄ってきた女性がカメラのシャッターを切る。未山(坂口健太郎)は動じず、黙って自分のことを素材のように相手に差し出す。  昔の写真を取り出して見せられるが、未山はどこか違うところ(部屋の隅の方) を見つめる。薄闇に坂口の横顔がうっすら浮かぶ。彼女が部屋を出ると、やっと視線を写真の方へやる。箱の中の一枚には、上半身裸の未山の白黒写真が。  映画がはじまってまだ10分も経っていない。それなのに、坂口の昼の横顔と夜の横顔をいくつか見られただけで、すでに満足してしまっている。とてもとても不思議な作品である。
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完璧にそこに存在する力
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【作品情報】
『サイド バイ サイド 隣にいる人』
4月14日(金)より、TOHOシネマズ 日比谷ほか 全国ロードショー
©2023『サイド バイ サイド』製作委員
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