コミカルで明るい『あまちゃん』に、軽薄さがない理由
また、地方の過疎問題や、観光客や外部の人には魅力的に映る「昔ながらの雰囲気」だけでは生活していけないジレンマを、深刻な問題として丁寧に提示していたのも新しい発見でした。
コミカルで明るいテイストながらも『あまちゃん』に軽薄さがないのは、
物語の中に問題提起やテーマが軸としてはっきり存在し、それがストーリーの中で説教臭くならずにちゃんと訴えかけられているからなのでしょう。

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また、小池徹平さん演じるストーブさんこと足立ヒロシは、その甘いルックスや登場回の早さから、初回放送時は多くの人がアキの相手役だと予想しながら視聴していたと思います。
しかし、
そうではないと知っていることによって、彼の行動や演技が違った視点で見られるのは面白いところです。クズで裏のある男、そんな彼の演技を深く感じることができます。
また、この再放送で改めて実感したのが、2016年の事務所問題によって、地上波テレビからほぼ姿を消したヒロイン・
能年玲奈さん(現・のん)のすばらしさ。キラキラした存在感、確かな演技力、アキという役柄との親和性など、全てが完ぺきで、あまちゃんの成功は、彼女なしでは成しえなかったものだということを実感します。

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また、2019年にコカインを使用したとして麻薬取締法違反の罪に問われたピエール瀧さんも、久々にテレビでその演技が見られそうです。ピエールさんは東京編で登場人物がよく訪れる鮨屋の大将として出演していました。
一部報道によると、NHKから「カットせずに放送します」という回答を得られたといいます。
映画・ドラマの世界でなくてはならない唯一無二の存在感をもつ二人。この再放送によって「喪が明けた」とみなすことができるのでしょうか。
連続テレビ小説「あまちゃん」は、BSプレミアム・BS4Kで月~土曜の午前7時15分~7時30分、日曜の午前9時~10時30分(1週間分6話連続)に放送中。15分×全156回※各話2回ずつ放送。