「精子提供は知人から」同性カップルが子どもを授かるまでの“想像以上に長い道のり”
同性カップルはどのようにして子どもを授かるか知っていますか。
レズビアンカップルの長村さと子さんと茂田まみこさんは、妊活に関する情報収集やドナー(精子提供者)探しなど、現在1歳4ヶ月となる息子を授かるまでの長い道のりを歩んだといいます。
インタビュー前編では、子どもを望むセクシュアルマイノリティやLGBTQカップルに向けた支援を行う一般社団法人「こどまっぷ」を運営する側の視点から、同性カップルのドナー探しの現状や病院での対応などについて話してもらいました。
今回は、同性カップルとして直面した子どもを授かるまでの苦労や、新しい家族との過ごし方、今後の子育てなど、2人が実際に経験したことについて話を聞きました。
※本記事でいう「同性カップル」は、戸籍上の性別がパートナーと同じカップルのことを指します。
【前回の記事を読む】⇒問題のある精子提供者にダマされることも。同性カップルが子を授かるまでの苦悩
――まずは、お2人の出会いについて教えてください。
茂田:2014年にさと子が働いている新宿二丁目のバーで出会いました。当時、私は二丁目に行くのが初めてだったのですが、そのお店は居心地がよく、カウンター越しで話すうちに素敵な人だなと思うようになりました。そこからそのお店に通うようになり、お付き合いがスタートしました。
――子どもをもとうと決めるまでにどのような経緯がありましたか?
長村:20歳のときから子どもがほしいと思っていたんです。これまでに何人ものパートナーと交際してきたのですが、相手が子どもを育てたいという意思がなかったことから、別れてしまうことがほとんどでした。なかなか関係性もうまくいかないので、それなら1人で産もうと考えた時期もありましたね。
茂田:私は海外に留学していた経験もあり、レズビアンで子育てする同世代のお母さんも見てきました。同性カップルが子どもを授かることに対して抵抗感がなかったので、さと子から相談されたときは、「じゃあ何から始める?」と、子づくりすることを前提に会話が進められました。
長村:そうですね。過去に付き合っていたパートナーのなかには子どもをつくることに対して「いいよ」と言ってくれる人もいましたが、結局後回しにされてしまったり。
年齢的な面でも子づくりできる時間は限られていると思っていたので、まみこと出会ってからは気がラクになりました。その後もドナー探しでかなり苦労はしたんですけどね……。
――ドナー探しで苦労したとのことですが、どのようにしてドナーを探したのでしょうか?
茂田:私たちは、ドナー探しを始めてから子どもを授かるまでに5年かかりました。日本には同性カップルが利用できる精子バンクがなく、SNS上でドナーを探すケースも珍しくありません。
しかし、SNS上では自称「精子バンク」を名乗っている人が多く、さまざまなリスクをはらんでいます。海外の精子バンクを使うことも考えましたが、それだとドナーの人となりがわからないというデメリットがあります。なので、最終的には面識のある知人からドナーを探すことにしました。
――どのようにして知人にお願いしましたか?
茂田:相手が私たちの関係を知らないのであれば、まずはカミングアウトする必要があります。さらに子どもがほしいことと、精子提供に協力してほしいことを伝えなければなりません。
子どもがほしいと話すことで、相手から拒絶されてしまったり、場合によっては知人と私たちとの関係性が変わってしまったりする可能性もあるので、慎重に話しました。
子どもをもとうと決めるまで
知人から精子提供を受けることに

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